こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
本日は私のおすすめ漫画紹介、服部昇大先生『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』です!
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あらすじ
『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』(以下『邦キチ!映子さん』)はどんな物語か、第1話を振り返りながらご紹介しましょう。
進学校に通う17歳の男子高校生、小谷洋一は映画好きが高じて「映画について語る若人の部」を設立しました。

しかし進学校ゆえに映画を趣味とする人間は周囲におらず、
部員が一人しかいない部の部長として「映画の話が誰かとしたい!」という気持ちに苛まれる日常を送っていました。
そこにやってきたのが一年生の女子生徒、邦吉映子。

彼女もまた映画鑑賞を趣味としていましたが、映画の好みがマニアックであると言われ、周囲に理解されない日々を送っていました。
そんな彼女を部長は喜んで受け入れます。
そこで、部長は手始めに映子の好きな映画を当ててみせようとします。
マニアックな趣味を持つと語った映子の好みは『バトルシップ』ではないかと推測しました。

映子の好きな映画は、
なんと『実写版 魔女の宅急便』でした。

『魔女の宅急便』と言えば、このブログの1兆倍くらいの知名度のあるスタジオジブリの名作アニメ映画で有名ですね。
しかし、実写版の『魔女の宅急便』は恐ろしく知名度の低い作品です。
映子は続けて、好きなシーンを語り始めます。


キキがトンボに魔法マウントをとり、トンボがイラついて「魔法魔法言うな!」とキキを張り倒すシーン…
うん、めちゃくちゃ気になります。
そして続けざまに『実写版 魔女の宅急便』の舞台やストーリー、注目のアクションシーン(全てジブリ版とは似ても似つかぬ内容です)を語る映子のプレゼンに部長は白旗を上げました。
映画好きの部長をして「こいつの趣味は狂ってる!」「目のつけ所が完全にいかれている!!」「今の出版コードでは口に出せぬ〇〇〇〇としか言い様がない!」と評されます。

そして映子は邦キチと呼ばれ始め、なし崩し的に入部することになりました。
『邦キチ!映子さん』で紹介される映画
こんな感じで、邦キチが紹介する映画はひと癖もふた癖もある邦画ばかり。
映画を語る漫画と言えば『木根さんの1人でキネマ』『シネマこんぷれっくす!』など、
2010年代中頃から急激に増え始めたジャンルです。
これらの映画語り漫画はいずれも「映画を観ていなくても面白いが、観ている方が面白い」という構造的欠点を抱えた作品が多いです。
そんな中でも『邦キチ!映子さん』は一つの革命でした。
理由として、『実写版 魔女の宅急便』のように著しく認知度の低いB級映画がかなりの割合を占めます。
何なら、中にはB級とすら呼べない作品もちらほら。
そして、そんな映画の魅力(?)を語りつくす邦キチに対し、
読者からの映画へのツッコミを代弁してくれる部長、というやり取りが成立しているのです。
このやり取りの中に、「映画を観ている必要性」はあまりありません。
正直なところ、私は映画にそれほど明るいわけではないため、
前述の映画語り漫画はあまり刺さらないジャンルでした。
しかし、『邦キチ!映子さん』は「観ていなくて当たり前」という作品を多く取り上げることで、映画に詳しくない人間にも楽しめる作りになっているわけですね。
ドラゴンボール EVOLUTION

例えば1巻の14話で紹介されたのは、伝説のハリウッド版『ドラゴンボール EVOLUTION』です。
私はこの作品を観ていませんが、とりあえず何かヤバいらしいという噂だけは聞いていました。


実際に邦キチのプレゼンを聞いてみると、
原作を無視した相当にぶっ飛んだ内容であることが伺えます。
部長の「なんかもう全体的に…全体的に全てが違う!!」が全てを物語っていますね。

確かにヤバそう。でも、なぜか一回くらいは観てみたくなる。
そんな絶妙な映画紹介になっています。
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
2巻では、実写版の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』が紹介されました。

邦キチは『進撃の巨人』原作は未読ですが、映画については実写の迫力を大絶賛。
逆に部長は『進撃の巨人』原作のファンであるものの、映画版は観ていません。
そんな部長に、いつものように邦キチは魅力を語り始め、作中の優れたキャラクターたちにも言及します。
三浦春馬演じる主人公、エレン!
水原希子演じるヒロイン、ミカサ!

石原さとみ演じる巨人と兵器マニア、ハンジ!
長谷川博己演じる人類最強の男、シキシマ!

いや誰だよ。シキシマ誰だよ。
原作で言うところのリヴァイに当たるキャラクターのようですが、
映画作中では謎の奇行に走っているらしく「人類最強の男」以外にリヴァイみを感じません。

私の推測ですが、「低身長」「鋭い目つき」「高い運動能力」といったリヴァイの特徴を満たすキャスティングが整わず、代替として映画オリジナルのキャラクターをぶち込んできた可能性が高いですね。
他にも巨人を一本背負いできる男・サンナギや、
エレンにおっぱいを触らせてくる主婦・ヒアナなど、キャラも展開も予想がつきません。

私は部長と同じ立場(原作ファン、映画未視聴)ですが、このプレゼンは映画版を観たくなる魅力があります。
どういう展開なんだろう…
サンナギとヒアナはどう話に絡むんだろう…
るろうに剣心
B級作品ばかりかと思いきや、普通にメジャーなタイトルも出てきます。
4巻では「成功した漫画原作の実写映画」の代表格とも言うべき『実写版 るろうに剣心』を取り上げています。

先程から引用のチョイスが漫画原作に偏っていることに関してはごめんなさい。
私は映画に詳しくないただの漫画オタクなのです。
が、そんな私でも『るろうに剣心』は劇場で観ました!
原作の剣技は基本的に人外の動きですが、それらを上手く実写に落とし込んでいるアクションパートは圧巻。
ストーリーは原作に沿いつつも違和感のない程度にオリジナル要素があり、キャスティングも完璧でした。

邦キチは、そんな『るろうに剣心』大ヒットの理由を発見したと話します。
『るろうに剣心』を実写化するのに一番大事なものとは何か?

邦キチは、それこそが『おろ?』であると話します。
るろうに剣心における『おろ?』について3ページに渡りまくし立てる邦キチ。

しかし、確かにこれは分かる気がします。
『おろ?』なんて現実世界で聞くことのない言葉ですが、佐藤健の『おろ?』はすごく世界観に馴染んでいました。
血が通った『おろ?』、実に的確な表現です。
一見ムチャクチャな理論を話しているように見えますが、
これはかなり漫画実写化の核心を突いた意見です。
漫画の表現を実写にするとどうしても不自然になってしまうもの。
それを実写に的確に落とし込んでこそ、実写化する意味があると言えます。
このように、邦キチは珍奇な映画のレビューだけではなく、非常に的を射た意見も発します。
映画 えんとつ街のプペル
7巻では『映画 えんとつ街のプペル』が紹介されました。
一部に熱烈なファンを持ち、「ディズニーを超える」「300年続くエンタメを作る」と明言する、キングコング・西野亮廣さんが満を持して発表した映画ですね。
邦キチは『映画 えんとつ街のプペル』を徹底解説し始めます。

煙突から出る煙に覆われた町が舞台で、人々は星の存在を知りません。
主人公のルビッチはそんな中で星の存在を信じる少年です。
そう、たった一人で星の存在を信じる。
ルビッチのモデルは西野さんでしょう。

ルビッチが出会ったのはゴミ人間のプペル。
町の人々から笑われてもゴミの中から大事な物を探し続ける、
その姿はまさに西野さんそのものです。

ルビッチの父親、ブルーノも町の人々に笑われながらも星の存在を演説します。
彼の決して夢を諦めない姿勢は、西野さんがモデルで間違いありません。

さらに続けて出てくる重要キャラ、シルビオ・レター。
彼は「腐るお金」を作ることで人々をお金の奴隷から解放しました。
その資本主義の先を見据えた姿勢は、過去の西野さんの構想そのままです。

そう、つまり『映画 えんとつ街のプペル』とは
西野さんが西野さんを描いた西野さんのための西野さん映画なのです!

はい。
私は正直、西野さんを好きでも嫌いでもない立場ですが、
なんだかすごく納得できる説明でした。さすが邦キチです。
まとめ
以上、『邦キチ!映子さん』の紹介でした。
この作品の魅力の一つとして、邦キチは決してこれらの映画を「面白くない映画」や「おかしな映画」として語っているわけではないということです。
あくまでも邦キチは「自分の好きな映画」として作品の魅力を語っているのです。
だからこそ邦キチの語り口は「映画の面白いツッコミどころ」として、作品を貶めることのない「プレゼン」に成功していると言えるのです。
服部昇大先生のクリエイターとしての矜持、他作品へのリスペクトが伺えます。
このバランス感覚は非常に優れており、私のように映画に詳しくない人間でもストレスなく楽しめますし、もちろん映画好きにも楽しめます。
そんなお勧め漫画『邦キチ!映子さん』でありまする。
そして『邦キチ!映子さん』ですが、なんと最新8巻の発売を記念して、
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