
こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
本日の題材はこちら。

一部でカルト的な人気を誇るホラー漫画『彼岸島』です。
私の「ブログで取り上げたい漫画リスト」の最上段をキープし続けていた本作に、ついに切り込んでいきましょう。
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本記事の考察者
大岩祐介先生(救急医)

登録者280万人超のYouTubeチャンネル・リベラルアーツ大学を運営母体とする「リベ大総合クリニック」大阪院院長を務める先生。
救急科専門医・外科専門医を取得しており、救急医療や集中治療、総合診療について豊富な経験をお持ちのガチ中のガチの救急医である。
やっきー(産婦人科医)

当ブログの管理人・やっきー。見ての通り産婦人科医だ。
前回の『名探偵コナン』記事でクソ長ェ考察を行ったことで大岩先生の貴重な診療時間を奪った。
『彼岸島』について

大岩先生、本日はよろしくお願いします!

お久しぶりです。こちらこそ、よろしくお願いします。

さて…大岩先生はマンガがお好きだと伺っていますが、『彼岸島』を読まれたことはありますか?

『彼岸島』ですか…
10年以上前に読んだ記憶はあるんですが…

ぶっちゃけ丸太がやたら出てきた漫画ってことしか覚えてないです。


大岩先生……

その理解でだいたいあってます。

このレベルの理解でいいのか。

では、改めて『彼岸島』について説明しましょう。


『彼岸島(ひがんじま)』は松本光司先生によるホラー漫画です。

2002年にヤングマガジンで連載を開始し、今なお連載中の人気作品です。
『カイジ』『みなみけ』に並ぶヤンマガの顔と言うべきポジションですね。

なるほど、20年以上の連載とは凄いですね…
ストーリーの解説をかいつまんでお願いできますか?

主人公・明(あきら)は行方不明の兄・篤(あつし)を追い、
「彼岸島」という絶海の孤島に乗り込みます。


しかし、この彼岸島は人の生き血を吸う化け物「吸血鬼」が巣食う島だったのです…!


通常の人間の3倍ほどの腕力に、高い生命力・耐久力を併せ持ち、
噛みついた人間を麻痺させる吸血鬼!
果たして明は、兄を見つけ出し、過酷な彼岸島で生き残れるのか!!

うーむ、サバイバルホラーの王道といった感じですね。

…ただし、『彼岸島』がホラーらしい部分はほとんど最初だけで、
途中からはトンデモ展開の嵐へと変貌していきます。

ほう?

まずは明の目的であった兄・篤との再会ですが、
彼岸島に着いて10話(推定5日ほど)で果たされます。


テンポ良いな…

明はなんやかんやあって8か月の修行をして凄ェ強さを手に入れ、
吸血鬼を余裕で瞬殺できるようになりました。
ちなみに兄の篤も同じくらい強いです。


吸血鬼が相手のホラー漫画で吸血鬼を瞬殺できてしまったら話が成立しなくなりませんか!?

そんな明に立ちはだかるのが、
「邪鬼(オニ)」と「雅(みやび)」です。

ほう、まだ厄介な敵がいるわけですね?

邪鬼(オニ)は、吸血鬼がいろいろあって異形の化け物に変身した姿です。
理性を失ったかわりに、数メートル以上の体躯と高い戦闘能力を持ちます。


そして「雅(みやび)」こそが全ての吸血鬼の元締めにして、本作のラスボスです。


雅は単体でもすさまじい戦闘能力を誇っているだけでなく、
ほとんど不死身と言ってもいいほど強力な再生能力、
さらに邪鬼を自在に操る能力まで兼ね備えている最強の敵です。

なるほど、雅を倒すことが『彼岸島』の目標というわけですか。

おおよそ物語の概要は分かりましたが、
「トンデモ展開の嵐」というのはどういうことでしょう…?

明が強くなって以降は長期連載の弊害もあり、設定の矛盾やご都合主義が如実に増えます。

辺鄙な孤島の設定だったのにどんどん巨大化し、炭鉱や砂丘や五重の塔が出てくる彼岸島…
2000年頃まで一般人が住んでた普通の島なのに無尽蔵に存在する日本刀…
ありあわせの材料で爆弾や火炎放射器を自作する文房具屋の息子…


なるほど…ご都合主義だ…

その様相はもはや「ホラー描写のあるギャグ漫画」として楽しんでいる人の方が多いまであるレベルです。

しかし、そのあたりの矛盾から目を背ければホラー漫画としての質は非常に高いですし、松本先生の画力が発揮されたバトルシーンも迫力満点。
邪鬼のデザインセンスも秀逸です。

サバイバルホラーとしてもネタ漫画としても楽しめる、
まさに「一粒で二度おいしい漫画」と言えるでしょう。

なるほど、20年以上の連載は伊達ではないわけですね。

それではここからが本題で、
大岩先生をお呼びした理由をお話ししましょう。

そうだ、すっかり忘れてました。何か考察するんでしたっけ?

上記の「トンデモ展開」を形成する要因のひとつが、
主人公・明の人間離れした身体能力でして。

ふむ…まあホラー漫画ですし、
いくら「人間離れ」とは言っても限度はありませんか?

明はギロチンの刃を振り回して竜巻を起こしたことがあります。



人間じゃなかった。

そんな明は、作中でどう見ても致死的なダメージを何度も負っているにもかかわらず現在もピンピンして吸血鬼を狩り続ける日々を送っています。



どう見ても死ぬやつ…!

今回の記事では、明が食らったダメージは現実だとどうなるかを大岩先生とともに検証したいと思います!!

な、なるほど…難しそうですが、やってみましょうか。
検証のルール

では、今回の検証のルールを説明しましょう。

検証対象とするのは『彼岸島』(無印)全33巻ならびに『彼岸島 最後の47日間』全16巻です。
現在連載中の『彼岸島 48日後…』は対象外とします。

描写の分析・物理学的な計算は主に私が担当し、
それを踏まえた医学的な考察は主に大岩先生にお願いします。

ふむふむ、承知しました。

この中で明がダメージを負った描写をすべてピックアップし、
明が負った致命傷のワースト5を決定します。

おお!今回は5つだけですか。

前回の記事でコナンが関わった全事件を解説したら26000字にわたってしまい、読者の離脱率がすごかったので…

そりゃアレ、我々でさえ読み返すのに論文並みの気合いが要るレベルですからね。

引き続き、読者に優しいブログをモットーにしていきます!

検証に付き合わされる僕にも優しいブログであってほしかった。

なお、ネタバレ回避のために『彼岸島 最後の47日間』の最後のシーンだけはカットとします。

それでは大岩先生、いっしょに全描写をチェックしましょう!!
原作全49巻は持ったな!行くぞ!!

帰りたい。

~確認作業中~

先生。ここなんですが、明の顔面にめちゃくちゃ腰の入った後ろ回し蹴りが入ってますが…


うーん、これは除外ですね。
7ページ後に反撃に転じてますから、ダメージを負ったうちに入りません。

鼻骨骨折や眼球破裂とか起きてもおかしくないんですが?

~確認作業中~

先生、ちょっと彼岸島クイズを出してもいいですか?

何ですか、藪から棒に。

日本刀を失った明はゴミ捨て場で武器を調達することになりました。
ここで手に入れた武器は何でしょうか?


ゴミ捨て場で武器を調達…?
まあ使い古した包丁か、ナタでもあれば言うことないですかね。

それでは、正解のシーンを見てみましょう。


答えは青龍刀でした!

分かるかそんなもん。

~確認作業中~

彼岸島クイズ、第2問!!

もうええねん。

先生、これは「妊婦さんへの患者対応」が絡んでくる問題ですよ。
実臨床への応用も効くと思います。

彼岸島と産婦人科って、だいぶ離れてそうですけど…
うかがいましょう。

先生が妊婦さんの目の前で吸血鬼の首を切り飛ばしたとします。


どう臨床で使うんだよ。

この時、驚いている妊婦さんにどのような声をかけますか?

そうですね…こういったショッキングな現場に遭遇した場合、
精神的なケアが不可欠ですね。

かける言葉としては「怖かったですね」「混乱しても大丈夫ですよ」等でしょうか。

では、『彼岸島』における模範解答を発表します。


「すまない 妊婦にショックを与えちまった」。

もうちょい言うことあるだろ。

あと目の前で首チョンパしたのに、妊婦さんの反応が軽すぎる。

~考察中~

うーむ…この描写のダメージを考察するにはデータが足りないな…

やっきー先生。ここのシーンの衝撃力を算出してもらえますか?

えーと……これは、計算のために明の体重のデータが必要ですね…

…これですね!wikipediaに明の体重が書かれてますよ!!


明の体重は62.3kgのようですね!

……

日本刀の一振りで金属を切断できる奴にしては、
175cm・62kgってあまりにもヒョロすぎません??



たしかに。

公式のデータが欲しいところですね…
~2週間後~

あったよ!!公式のガイドブックが2冊!!

でかした!!

さて!明の体重はいくつなのか!!
このガイドブックを取り寄せるために貴重な2週間と送料込み2000円を使った価値はあったのか!!!

「主人公の体重が知りたいだけ」にしては地味に痛い出費だな…



…というわけで62.3kgは修行前の体重であり、
修行後は68.4kgにバルクアップしていたことが判明しました。

作中の描写からするとまだ少し細い気がしますが、
まあ妥当な体重ですかね?

ちなみにこの2週間、ただ待ってるのも時間が勿体なかったのでいったん全て62.3kgでエネルギーや衝撃力を算出してました。

よって、すべて計算やりなおしです。

……

……

読者のみんな!!wikipediaの情報はアテにするなよ!!!

逆恨みが過ぎる。

…という紆余曲折を経て、ついに「明が負った致命傷」ワースト5を決定しました。

描写のピックアップ作業も含めると約2か月…長く苦しい戦いだった…

やっきー先生の『彼岸島クイズ』のせいで要らん時間を使った気がしますが?

それでは、ランキングを見ていきましょう!!
明の致命傷ワースト5
第五位:無印257話 高エネルギー外傷

第五位はこちら。
吸血鬼陣営で最強クラスのボスキャラクター「斧神(おのがみ)」による攻撃ですね。





自分たちで選んでおいて何ですが、第五位がコレなのおかしくないですか?

そうですね…さすがの明も、このレベルの外傷を負った回数は数えるほどしか無かったですからね。

数えれるんかい。

では、明が負った外傷について検証してみましょうか。

この打撃による飛距離ですが、高さは少なくとも斧神の身長の1.5倍~2倍近くは飛んでますね。
公式ガイドブックによると斧神の身長は241.8cmなので、ざっくり4メートルくらいとしましょうか。



水平方向では海の浅瀬~砂浜~森までぶっ飛んでるので、ざっくり20メートルくらいとしましょう。

まとめると、高さ4メートル・幅20メートルの放物線を描いている感じです。

…えーと、非日常すぎてピンと来づらいんですが、身近なものに例えるとどんな感じでしょうか。

バレーボールのコートの端から端まで飛んで余裕でおつりが来るくらいです。
(ネットの高さ2.43メートル、長辺18メートル)

どうみても死ぬんだよなあ…

空気抵抗を無視して考えると、高さ4メートル・幅20メートルの放物線を描くのに必要な速度は14m/s(51km/h)となります。

斧が明に衝突した際に伝わるスピードを約80%と仮定すると、ノーブレーキのトラックが時速60km超で衝突するのと同じくらいの感じですね!

どうみても死ぬんだよなあ…(2回目)

では大岩先生、この衝撃が人体に加わったらどうなりますか?

そうですね…まず、ミシガン州における歩行者事故のデータを参照してみましょう。
(参考:江島晋ら『VIPAを用いたミシガン州(米国)における歩行者事故実態の把握』)

これによると、死亡事故における歩行者と自動車の衝突速度は平均で60km/hだったようです。

60km/hは斧のスピードとほぼ一致しますね…

要するに対人の自動車事故における60km/hは、
ちょうど生きるか死ぬかギリギリのラインだということですね。

このとき明が負ったダメージを類推すると、首は頸椎断裂レベルで、多発肋骨骨折は必然です。
深刻な肺損傷もあるでしょう。



地面に転がったならまだしも、木にぶつかって血を吐いてるのもヤバすぎますね。
背中側の肋骨もほとんど壊滅状態でしょうし、肺や脾臓、肝臓、腎臓も破裂は間違いなしです。

無事な臓器がない…

頸椎損傷・肺損傷と多発肋骨骨折による呼吸不全に出血性ショックなので、普通に考えれば即死かと。
僕がその場にいても助けられる自信はないです。

そうですね…さすがの明もこの攻撃で気絶してしまい、
立って歩けるようになるまで数時間かかりましたからね。


まさか実質ノーダメージなの?
第四位:無印324話 高エネルギー外傷

第四位です。雅のペットにして最強格の邪鬼である「チワワ様」にぶん投げられたシーンです。


ガラス製の容器をふたつ貫通し、さらにコンクリート製(たぶん)の壁に巨大なヒビを入れています。

コンクリートってそんな簡単に割れるもんじゃない気がするんですが…

YouTubeに実験動画が上がってますが、コンクリートの耐久実験では数百キロ~数トンの鉄球をぶつけてますね。

明の頑強さは鉄球で例えるレベルか…

やっきー先生から見て、この描写は物理学的にいかがですか?

正直、壁やガラスの材質が分からない以上、それらから類推するのは難しいと思います。

そこで今回は壁とガラスが飴細工なみの耐久度だったと仮定し、「軌道」に注目しましょう。

軌道…ですか?

ここで改めて、こちらのコマにご注目ください。


明が壁にぶつかるまでの軌道がほとんど直線なんですよ。

つまり、重力による自由落下の影響を受ける間もないほど一瞬で壁に衝突したと考えられます。

なるほど?

少し甘めに、投げ飛ばされてから壁にぶつかるまで0.5秒(重力の影響による落下距離は1.2m)と仮定しましょう。

投げ飛ばされた距離を10メートルとすると、
10m/0.5s=72km/hくらいの初速度になります。

壁にぶつかって速度を失うまでに要した距離を5cmと仮定すると、
体重68.4kgの明に加わる衝撃力は273.6キロニュートン…
ざっくり27.9トン相当となります。

なんで生きてられるの??

壁にぶつかった時の姿勢からして背骨という背骨がコナゴナでしょうし、心臓も破裂してますね。
正直、生存の見込みは完全にゼロです。

まあ、実際そうでしょうね…コンクリにヒビが入るくらいですから…

さすがの明にとってもダメージが大きかった模様で、
このあと「せっ背中が‥‥」と言いながら走り回っています。



やっぱり実質ノーダメージなのか…
第三位:無印241話 墜落+頭部外傷

第三位です!
斧神との戦闘において崖から墜落し、頭に岩が落下してきたシーンです。










「衝撃で 身体が痺れて 動けねェ‥‥」(謎の5・7・5)

じゃありませんよ。もうちょい人間らしさがないと共感できませんよ。

では、明のダメージを推測してみましょう。

…といっても崖の高さはほとんど手がかりがなく、ほぼこのコマくらいです。


うーむ。明や斧神の身長から計算するくらいですかね?

そうですね、前傾姿勢ぎみの斧神が9人ぶん以上、というのは確実ですが。


前傾姿勢の斧神の高さを2.3メートルと仮定すると、この時点で崖の高さは少なくとも20.7メートル以上はあります。

こんな規模の温泉地帯を有する島がなんで政府に見つかってないんだろう…

ひとまず、崖の高さは少なくとも30メートルはあると仮定しましょうか。

上のコマでも谷底が全然見えませんからね…
妥当なところだと思います。

それを踏まえて大岩先生、このダメージをどう見られますか?

そうですね…30メートルといえばビルの10階からの墜落に相当します。
刀でわずかに減速しているとはいえ、普通なら即死です。

ここまでに出てきた明のダメージ描写、
今のところ全て「即死」判定ですね…

外傷外科の統計では、15メートル(ビル4~5階相当)で致死率50%、
24メートルで90%、それ以上は「医学的には非生存域」と言われます。

まあ…第五位・第四位の描写を耐えられる明なので体の痺れで済むとしておきましょう。

ただ、見過ごせないのがこちらの描写ですね。


このとき明の頭に落下してきた石を30cmの球形とみなします。

火山崖に多い玄武岩の密度で計算すると、石の重さは41kg。
こんなのが頭に降ってきたらレイザーの念弾を食らったボポボみたいになりますよ。


つまり明ならグリードアイランドに入っても防御力的にはなんとかなる、と…!

可能性がないと言い切れないのがこわい。


なお、この落石の下敷きになっても生きてるのは本当に意味不明なので考察の対象外とします。

ついに先生が匙を投げた!!
第二位:『最後の47日間』161話 全身挫滅

第二位です!
邪鬼「椿(つばき)」との戦闘において10回のハンドスラップを食らったシーンです。




椿は餌となる人間・吸血鬼を捕食する際に、
巨大な手で押しつぶして弱らせるという習性があります。

ここに至るまでにも2回ほどハンドスラップを食らってるんですが、
最後の最後で10回(効果音の数からカウント)立て続けに食らいました。

「これ以上ヤバいことにはならんだろ」という想像を毎回しっかり上回ってくるのはさすが『彼岸島』ですね…

やっきー先生、これって物理学的にはどのように捉えられますか?

うーむ…推定が難しいですが、可能な範囲でやってみましょうか。

ちょっと長いので、詳しく知りたい方以外は読み飛ばしてもOKです。

まず、日本人女性の片方の手+前腕の質量は体重比で2%ほどとされています。
(参考:阿江通良ら「日本人アスリートの身体部分慣性特性の推定」バイオメカニズム 11 (0), 23-33, 1992.)
日本の成人女性の平均体重50kgから考えると、手+前腕で1kgといったところでしょうか。
次に、手を地面に打ち付ける際のスピードです。
現実で「手を強く振って何かに叩きつける」という動作に近いのはバレーボールのスパイクですね。
トップアスリートによるスパイク時の手の速度は、平均19.75m/sだったようです。
(参考:Chenfu Huang et al. “KINEMATIC ANALYSIS OF THE VOLLEYBALL BACK ROW JUMP SPIKE”)
平均的な女性がハンドスラップをするなら地面と衝突する際の速度はその約半分の10m/s、減速距離を5cmと仮定し、
この場合の衝撃力を導き出すと1,000ニュートン、102kg相当となります。
これを椿がやったらどうなるかを推測しましょう。
やっきー(178cm)が15cmのペンを握ったらだいたい下のコマくらいの縮尺になったので、
明の身長175.3cmから縮尺比をとり、椿の手は21メートルの巨人相当の大きさと仮定します。

日本の成人女性の平均身長157.5cmから比率は21/1.575≒13.33倍と考えて、
手+前腕の質量は比率の3乗に比例するため約2,370kg。
速度と減速距離は比率の1乗に比例すると仮定すると、手の衝突速度は133m/s=時速478.8kmで、
衝撃力は約31,560キロニュートン、重さ換算で約3,220トンとなります。
(このレベルの速さ・大きさだと空気抵抗も無視できませんが、計算が難しすぎるので省略します。とはいえ考慮したところで人体にとっては高すぎるレベルで誤差なのでヨシ)

以上のことから、椿が手を1回バンッするごとに2.4トンの物体が時速480kmで降ってくる感じになります!
衝撃力で言うと3000トンオーバーです!!

生き残れる要素が全く見えない。

しかもこれを10回食らったわけですよね?
明のチタタプの出来上がりでは?


これ、救急医学的にはいかがでしょうか?

正直、「救」の余地が全くないので僕の範疇外なんですが、
ムリヤリ現実に落とし込んでみましょう。

死後の被験者を用いた実験によると、
胸郭の破壊閾値(≒肋骨骨折の閾値)は4キロニュートンと考えられています。

つまり、4kNで肋骨が折れるところに明には31,600kNかかったわけです。
牛乳パックを車で踏み潰したような大惨事になることは確実ですね。

お、おう…

似た状況として、僕は過去に電車の下敷きになった方を診たことがあるのですが…

ヒエッ…ど、どうなるんですかそれ…

…耳を貸していただいても?

(ヒソヒソヒソ)

ブログに載せられませんよ!!!
第一位:無印169話 墜落

というわけで、ついに第一位です!
兄貴と一緒にクソ高ェ教会から墜落したシーンです。









うん…明より先にこの教会の構造が気になるんですが。
自由落下しながらどんだけ会話してるんですか。

この教会は『彼岸島』フリークの間でも物議を醸しておりまして、
「田舎の孤島に何でこんな巨大な教会があるんだ」
「大聖堂として扱われるレベルでは?」などと言われています。


日本一の建造物を上回ってた。


さて…この自由落下、大岩先生はどう見ますか?

スカイツリーのてっぺんから飛び降りて生存できると思います?

ですよね。

まあ高さだけでもヤバいんですが、
この状況に輪をかけているのが墜落時の姿勢ですね。



弟をかばうのは良いんですが、結果として明は顔面でこのエネルギー全部受け止めちゃってますよ。

あと、5メートルくらいまでの高さなら人体がクッションになることもあり得ますが、それ以上の高さだと意味をなしません。

つまり、結論としては…

「脳挫傷」や「肋骨骨折」などの傷病名が付く状況ではありません。
あえて言うなら「霧散」です。

ま、まあスカイツリーの高さから落ちればそうなりますよね……

……ところで、だいたい予想はつきますが、
この直後の明はどうなったんです?

そりゃあもう大ダメージですよ!!


安静にしてろよと心配されるくらいのダメージですよ!!

安静どころか人の原型を保ってる時点でおかしいですね。
まとめ

というわけで、本日は『彼岸島』の救急医学的考察をお届けしました!

ちなみにギリギリで選外になった描写としては、
邪鬼の「太郎」を倒した時に高所から何のクッションもなく落下してるシーンなどがあります。




普通に考えてヤバい高さから背中で着地してますね…

下のコマで小さく写ってる西山や亮介の身長から類推するとワイヤー同士の間隔は成人男性1人分、
そして太郎はワイヤー8本分で切断されていることから、
明が落下したのは少なく見積もっても13メートルの高さです。


オリンピックの高飛込台(10メートル)以上の高さから地面に落下する感じですね…
第五位以上に見劣りするだけで、こんなん良くて脊髄損傷のレベルですよ。

訓練された選手であっても着水に失敗すると大怪我を負うんですが、
なぜ明は背中から着地して何事も無かったように振る舞っているんでしょうか。

まあ694メートル以上の高さから落ちたのに比べれば13メートルはかすり傷の範疇かもしれません。

感覚がおかしいんだよなあ……

さて、大岩先生。
最後にこの記事を書いた理由についてお話ししてもよろしいですか?

なんでしょうか?

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えーっ、書き下ろしのマンガ考察記事まで読めるんですね!?
(カンペを読みつつ)

ちなみに題材はコレです。
産婦人科医目線でコレについて解説します。





よりによってそれか。

男性が読んでも楽しめる内容にしていますが、
女性が読めばなお役に立つ内容なのでプレゼントにも最適!!

この考察記事は今回の予約特典以外で世に出す予定はないので、皆様からのご予約をお待ちしております!

というわけで改めて、
大岩先生、本日はありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!
予約特典の詳細についてはこちらの記事をどうぞ。
単著『アレはホントにマジなのか』予約開始。予約特典の受け取り方について。(2025年8月6日追記)
現在、ニュースレター『産婦人科医やっきーの全力解説』を配信中です。
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『医学の話を全くしないnote(仮)』も不定期配信中です。
医学や漫画の話をしたりしなかったりする雑記帳です。特に役に立たない話を読みたい方は、こちらもどうぞ。

面白かったです
人間って頑丈なんだなぁ
最後の落下に関してはギネス記録で高度10000mの落下で生き残った女性がいるらしいのでまあ…
落下場所が森林地帯だったことの影響が大きいらしいですけど