こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
本日のテーマは「想像妊娠」です。
「実際には妊娠していないけど、つわり等の妊娠の症状が出る」というものですね。
実はこの想像妊娠、ひと昔前のフィクション(ドラマや映画、小説など)にはしばしば出てきたのですが、
2000年に入った頃からほとんど使われることは無くなりました。
実際、読者の皆様も「想像妊娠」が登場する近年のフィクション作品はなかなか思いつかないでしょう。
では、なぜ想像妊娠が登場しなくなったのか?
そんな中でも想像妊娠が登場する作品の描写については?
といったところを詳しく解説していきましょう。
『ビッグオーダー』
まず最初にご紹介するのは、『未来日記』等で有名なえすのサカエ先生による『ビッグオーダー』です。
あらすじを簡単に説明しましょう。
主人公は九州の天草市に住む男子高校生・星宮エイジです。
彼は幼少期に「オーダー」という”自分の願いを実現させる能力”に目覚め、
この時に世界の滅亡を願ってしまったことにより「大破壊」と呼ばれる災害が起き、世界が滅びかけました。
他にも、瀕死の重傷からの「再生」を願ったことで不死身の能力を手に入れた人や、
「平和」を願ったことで戦闘を強制終了させる能力を手に入れた人などが登場する、
まあ超ざっくりまとめるとスタンド能力バトル漫画ですね。
…と言いたいところですが、そこはえすのサカエ作品なので一筋縄ではいかないストーリーが展開されます。
2016年にはアニメ化もされた人気作ですので、気になる人は是非読んでみましょう。
壱与
そんな『ビッグオーダー』に登場するヒロインの一人が、能力者(オーダー)でもある壱与。
壱与の能力は「100%当たる占い」というとんでもない代物であり、
エイジら戦闘系の能力者のサポートとして活躍します。
そんな彼女の能力は神職の家系に由来するものであり、
ウサミミ的なリボンは神具となっています。
彼女は父親から、巫女の力を守るため「リボンに触れられると身籠る」という大嘘を吹き込まれており、
壱与自身もそれを信じ切っています。
そして↑からわずか14ページ後にエイジは壱与のウサミミを鷲掴み。(事故ですが)
早い、伏線回収が早すぎる。
もっとも、こういういかにもな伏線が張られたあと最後まで触れられずに物語が終わるわけがないので、
アツアツのうちに設定をきっちり消費してしまうのも物語を作る上での重要なテクニックなのかもしれません。
話を戻しまして、エイジが壱与のウサミミを掴んでから推定数分間でお腹がどんどん膨らみます。
しまいには「産まれそう」とまで言い始める壱与。
エっ!!?
一旦は病院に行くエイジと壱与ですが、
エイジに核兵器が落とされそうになったりそれを食い止めたりと色々やってる間にお腹が引っ込み、想像妊娠は無かったことになりました。
ちなみに2巻の最後の入浴シーンで壱与のお腹は完全に引っ込んでいることが確認できます。
画像を載せるとGoogleさんに怒られるので(当ブログは前科あり)、詳しくは単行本でご確認ください。
想像妊娠
想像妊娠の歴史
というわけで、「想像妊娠」について医学的に考えていくわけですが、
その前にもうひとつ、かつて現実に存在した症例を挙げてみましょうか。
歴史学的に「想像妊娠だったのではないか」と推測されているのが、かつてイングランド・アイルランドの女王であったメアリー1世ですね。
メアリー1世は1553年にイングランド女王に即位したのち、1554年にスペイン王のフェリペ2世と結婚しました。
この時37歳だったメアリー1世でしたが、「この2人に世継ぎができたらスペインと英国が合体したヤベー国ができるんじゃね?」とヨーロッパ中の注目を受けていました。
そして結婚から2か月後、月経が来なくなったことで侍医により妊娠と診断されました。
この時にメアリー1世がつわりで苦しんでいるという記録も残されています。
しかしながら結局メアリー1世に子供が産まれることはなく、流産や死産だったという記録もないため、歴史学者からは「想像妊娠だった可能性が高い」という評価になっているようですね。
(参考:早川智「メアリ女王の想像妊娠と早発閉経」産科と婦人科 72(8): 1076-1080, 2005.)
と、ここまで何度も出てきた「想像妊娠」ですが、実は医学的にはっきり定義づけられた病名ではありません。
というか想像妊娠に関する医学論文や文献そのものがほぼ存在しません。
定義づけられていないので一般論的な話になってくるわけですが、
想像妊娠では「妊娠でみられる症状」(月経が止まる、つわり、お腹が膨れてくるなど)が出る、とされています。
想像妊娠の特徴として、妊娠を強く希望していたり、逆に恐れ過ぎていたりした場合に起こる可能性が高まります。
その目線で考えてみると、先ほど挙げたメアリー1世に関して言えば国どころかヨーロッパ中から世継ぎが産まれるかが注目されるという計り知れない精神的負荷があったことが推測されますので、
そりゃ想像妊娠かどうかに関わらず体調をメチャクチャ崩しても仕方ないところでしょう。
私がメアリー1世の立場ならたぶん内臓という内臓が全部ひっくり返るくらいのプレッシャーです。
妊娠の診断
まあメアリー1世ほど有名な想像妊娠はなかなか無いにしても、想像妊娠自体は1970年代頃まではしばしば見られていた現象でした。
そして逆に、それ以降では殆ど見られない現象となりました。
その理由は、単純に妊娠の診断精度がメチャクチャ上がったからです。
そもそも「子どもができるかどうか」というのは夫婦にとって非常に重大な関心事のひとつですし、ひと昔前までは「家に跡継ぎができるかどうか」が重要な要素でした。
何なら今でもそういう家は少なくないでしょう。
それだけに「一刻も早く妊娠しているかどうか確かめたい!」と思うのはある種、当然の願望とも言えます。
とはいえホルモンや妊娠の生理学のことが解明されるまでは「生理が止まる」「つわりが出る」「お腹が大きくなる」といった徴候以外で妊娠してるかどうかを判別する術はありませんでした。
実はこの妊娠の診断の歴史について、2018年にとんでもない史料が見つかりました。
それが古代エジプトで使われていたパピルスの記述。
デンマークのコペンハーゲン大学には当時のパピルスがいくつか所蔵されているのですが、そのうちの一部の文章が解読されたのです。
これにより、なんと今から3500年前(紀元前1400年頃)に妊娠検査薬に近い手法があったことが判明します。
方法はこうです。
オオムギを詰めた袋とコムギを詰めた袋を用意します。
妊娠しているか確かめたい女性はその中に排尿します。
これらが発芽したら「妊娠している」、発芽しなかったら「妊娠していない」と判定します。
さらにオオムギが先に発芽したら男の子、コムギが先に発芽したら女の子だと考えられました。
現代の我々にとっては、自分がおしっこした袋をよそのオッサンに見られて「むむっオオムギが先に発芽しておるぞ!」などと言われたくはない気がしますが、まあとにかく当時はこの手法が使われていたようです。
実はこの手法、1699年に作られたドイツの民間伝承の本でも言及されています。
今回のパピルスの記述はその歴史のルーツを知るための重要な手掛かりであり、医学史や考古学がメチャクチャ捗る発見だったというわけですね。
(参考:ScienceNordic “Unpublished Egyptian texts reveal new insights into ancient medicine”)
なお、このオオムギコムギ判別法(今適当に名前つけました)は1963年にアメリカ国立衛生研究所が実験しており、
非妊娠女性の尿ではほとんど発芽しなかったものの、妊娠女性の尿では70%の確率で発芽したためそれなりに信憑性が高いことが証明されました。
(ちなみに男女の判定法はぜんぜん当てにならなかったそうです)
発芽する理由について詳細は解明されていないものの、妊娠女性の尿に含まれてるエストロゲン(女性ホルモン)が作用するからじゃね?というのが定説です。
ここから大幅に話が進んだのが1920年代のことです。
アメリカのフリードマン先生は「妊娠している女性の体には何らかの物質が出ているに違いない」という予想から、ある手法を発明しました。
それが『フリードマンテスト』あるいは『ラビットテスト』。
妊娠したかどうか調べたい女性の尿をウサギに注射し、2日ほど経ったところでウサギを解剖(←!?)
ウサギの卵巣に「黄体」という構造が出来ていれば妊娠している!というわけです。
ウサちゃんかわいそすぎない?
フリードマンテストはさすがに当時の価値観的にもまあまあ批判が出た(+そのためだけに飼うのが面倒くさかった)ので、その後別の先生によりマウスやカエルを使う手法が考案されました。
これも今だと批判されそうですが、当時はネズミやカエルといった小動物には「下等生物」のイメージがあったので「それならオッケー!」という扱いでした。なんせ100年前ですし。
ともかくこれで妊娠の診断精度は大きく向上しました。
しかしこれらの手法も、診断できるまでに日にちが必要だったり、動物の飼育や解剖に手間がかかったりといった問題を抱えていました。
そんな中、赤ちゃんが母体から栄養や酸素を受け取っている「胎盤」に、あるホルモンを産生する能力があることが発見されます。
それこそが「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」です。
いかに全力で妊娠してるフリをしていようとも、想像妊娠であったとしても、
胎盤(またはその前段階である絨毛)は妊娠しなければ体内に生まれようがない物質ですので、
胎盤や絨毛から出るhCGを測定することでほぼ100%の精度で妊娠してるかどうかを確かめることができるのです。
とはいえこのhCGをどうやって検出するかにも相当難渋しましたし、
結局ウサちゃんに注射するのが最も精度が高い!という時代も長かったのですが、
1960年に「血球凝集阻止反応」という動物を殺さずともhCGを直接計測する手法が確立されました。
ウサちゃんたちありがとう。
そこからhCGを測定する手法はどんどんと発展していき、1970年代には病院内であれば簡易的なhCG測定キット(要するに現在の妊娠検査薬とほぼ同じもの)が使えるようになりました。
そして日本では、1992年にロート製薬の「チェッカーST」という一般用の妊娠検査薬の認可が下りました。
このような歴史を経て、今では誰もが薬局で検査薬を買い、妊娠の有無を確かめることができるようになったわけですね。
想像妊娠がほぼなくなった理由
さて、なぜこのように延々と妊娠検査薬に関する説明をしてきたかと言いますと、
想像妊娠がほとんど見られなくなった理由と妊娠検査薬の普及がほぼイコールだからです。
「想像妊娠」は乱暴に言えば「妊娠していると思い込む」ことによる症状なので、
妊娠検査薬や超音波検査といったもので「妊娠していない」と判明すれば症状は速やかに改善します。
よって日本における「想像妊娠」は、
産婦人科に行けば高い精度で妊娠の有無が分かるようになった1970年代以降に大きく減少し、
個人でも薬局で検査薬を買えば分かるようになった1990年代以降にはほぼ見られなくなりました。
これにより、フィクションの世界でも想像妊娠が起きることはほぼ皆無となったわけですね。
『ビッグオーダー』壱与について
以上を踏まえて『ビッグオーダー』壱与の想像妊娠を振り返ってみましょう。
まず、想像妊娠に必要な「妊娠しているという思い込み」に関してはある意味完璧です。
父親の情操教育の賛否はともかく。
ただし、ウサミミ掴んでその日のうちにお腹まで大きくなるというのは想像妊娠の枠を遥かに超越した何かが起きています。
この時、果たして壱与の体には何が起きているのでしょうか。
典型的な肥満と異なり、こんなふうに腹囲だけが大きくなる場合、考えられる病態は次の3つです。
①「妊娠している」か、②「腹部に腫瘍がある」か、③「腹水が溜まっている」か、ですね。
①妊娠についてですが、「妊娠してお腹が大きくなる」という状況をより正確に捉えるならば、
「子宮そのものが増大する」「胎児や羊水・胎盤などにより子宮内の容積が増える」と言い替えられます。
妊娠中は子宮に大量の血液が通るほか、子宮を構成する筋肉の組織自体も増えるため、
非妊娠時に比べて大きさは10倍以上、約1000gにも達します。
胎児や胎盤・羊水などは受精卵がなければ存在しようがないものですが、子宮だけでもそれなりの大きさに増大することは可能です。
…しかしながら、壱与のお腹の出具合はどう見ても子宮が1000gになった程度のものではありません。
子宮の増大だとすると胎児がいないと説明がつかないレベルの大きさなので、妊娠による子宮増大の影響の線は無さそうです。
②腹部の腫瘍についてですが、極端に大きくなった子宮筋腫や卵巣腫瘍、卵巣癌などに関しては妊娠女性かと見間違うほどにお腹が大きくなるケースが存在します。
しかし、それらの腫瘍が1日で自然に引っ込むことはありません。
腫瘍の線も無さそうです。
③「腹水」についてはどうでしょうか。
これも、非常に状態の悪い肝不全や悪性腫瘍などに関しては多量の腹水が溜まってしまうことがあります。
腹水は①「腫瘍」に比べれば、溜まったり吸収されたりといった動作がいくらか素早く行われるため、まだ腫瘍よりは現実味を感じます。
しかし問題になるのは時間経過ですね。
肝不全にせよ悪性腫瘍にせよ、数週間~数か月という時間経過を経て水が溜まっていくものです。
病的な腹水といえどどこからともなく突然現れることはなく、体の水分がじわじわとしみ出ることで発生します。
妊娠と見間違うレベルの腹水となると、少なく見積もっても3リットル程度は存在するはず。
つまり壱与のお腹が腹水によるものと仮定するならば、壱与は突然3リットル以上の脱水に見舞われるような状態になります。
壱与は他の女性キャラと比べても明らかに小柄な体格であり、仮に体重を50kgと仮定したとしても体重の6%の水分を喪失することになり、
これは脱水症の重症度分類における「中等症」にあたります。
中等症の脱水症では全身の倦怠感や頭痛・嘔吐・めまいに加え、皮膚や粘膜の乾燥などが起きるため、
端的に言えばメチャクチャ体調が悪くなります。
そして、こう考えると壱与の病態にある程度の説明がつきます。
上記のように自分では歩けないほどに苦しがっていた壱与ですが、核が落ちそうになったり色々している間に引っ込んだわけです。
これは妊娠したと思い込んだ精神的なショックで腹部の血管透過性が異常に亢進して腹水が産生され、
腹水による腹部緊満感で「産まれそう」という感覚に陥るとともに、一時的な脱水により体調が悪くなり、
核兵器のてんやわんやで想像妊娠どころではなくなったことで腹水が吸収され、体調も元に戻った…
ということで医学的にはムリヤリ説明ができますね。
まあ正直なところ、3リットル近い水分がここまで急激に失われると循環不全・多臓器不全や血栓症など二次的な合併症が起きそうなものですし、
汗をかいたり顔が紅潮したりするのも全く脱水症の患者らしくはないのですが、
(顔の紅潮=血管が拡張していることを表しているが、水分が失われている場合はむしろ血管は収縮するのが自然)
他に説明のしようがないので壱与のお腹は腹水によるものです。そういうことにしましょう。
『マチネとソワレ』
最後にもう一作、作中で「想像妊娠」と言及されている例をご紹介しましょう。
大須賀めぐみ先生の『マチネとソワレ』です。
この作品の軸となるのは主人公の三ツ谷誠(右)と、その兄である御幸(左)です。
誠は役者として一定の実力を持つものの、兄の御幸が常人を遥かに凌駕した天才役者であることから、
彼へのコンプレックスを抱きながらも役者として対決する姿を描く…という人気漫画ですね。
このあらすじだけだと『ガラスの仮面』に『美味しんぼ』のような要素を掛け合わせたような印象を受けるかもしれませんが、
作品の根幹に大胆な仕掛けが施されている上に演劇描写も非常に秀逸なため、非常におすすめできる作品です。
さて、主人公の兄の御幸は、自分の経験や周囲の出来事をインプットし、
役柄に徹底的に入り込むことにより天才役者の名をほしいままにしています。
そんな中、御幸はある舞台で妊婦役を演じることになった際、吐き気を覚えるなど急激に体調が悪化しました。
このことで医者にかかってみると、
「原因は不明」「あえて病名を付けるなら想像妊娠」と診断されました。
三ツ谷御幸の想像妊娠
というわけで、御幸は想像妊娠と診断されたようです。
第3話にして御幸の天才性を示す良いエピソードですね。
しかし結論から申し上げて、この医者は想像を絶するクソヤブ医者です。
どういうことか、解説していきましょう。
御幸の症状はつわりに類似した吐き気・めまいであり、
検査では女性ホルモンの数値が上昇しているが原因は分からないとのことです。
いや女性ホルモンの数値が上昇しとるやないかい。
この医者が言う「女性ホルモン」というのはおそらく「エストロゲン」のことではないかと思われますが、
男性でこれらのホルモンが上昇してる状況ならカウンセリングとか言っとる場合ではありません。
男性であっても「副腎皮質」という場所で微量ながら女性ホルモンは作られています。
(もちろん、女性に比べるとその量はごくわずかです)
副腎皮質からは他にも血液中の電解質や血糖値を調整するホルモンが作られており…というかむしろそっちがメインの役割なわけですが、
ごく稀に副腎皮質の中の女性ホルモンを作る細胞が異常に増殖する「副腎皮質腺腫」という腫瘍が起きることがあります。
国内でも2016年にエストロゲンを産生する副腎皮質腺腫を発症した男性の症例が報告されています。
(参考:手塚雄太「原発性アルドステロン症を伴ったエストロゲン産生副腎皮質腺腫の一例」日本内分泌学会雑誌 92(3): 1007-1008, 2016.)
他にも、副腎皮質腺腫よりも考えやすい状況として精巣腫瘍が挙げられます。
要するにキンタマの腫瘍です。
キンタマの中にはホルモンを産生する性質をもった細胞が存在し、これが腫瘍化することがあります。
精巣のSertoli細胞腫という腫瘍では、エストロゲンが分泌されることで乳房が出てくることが初発症状のパターンも稀にあるとされています。
(参考:森永正二郎「Sertoli細胞腫」病理と臨床 37(臨時増刊): 305-308, 2019.)
というわけで、御幸の「吐き気」「めまい」に関しては役者の精神的なストレスとして片づけてもまあ良いかもしれませんが、
男性患者の女性ホルモンが上昇するという異常事態に遭遇したならば、とりあえずキンタマが脹れてないか確認し、
女性ホルモン以外のホルモン(副腎皮質のホルモンや下垂体のホルモンなど)の結果を照らし合わせつつ、
腹部や頭部のCT検査やMRI検査を行う…というのが基本的な診断の筋道でしょう。
そもそも病院で血液検査をする際、医者はひとつひとつの検査項目を自分で選んで調べています。
「この検査項目は何を疑って調べているか」「何のために必要か」というものを説明できなければ保険も通りません。
そして、吐き気を訴える男性患者に対してわざわざ女性ホルモンの数値を測るというのはかなり特殊な状況を想定していないと行わない検査です。
なんかよく分からないけど適当に検査をいろいろやってみた、としか思えませんね。
そしてそんな謎検査がピンポイントで的中するというラッキーを成し遂げたにも関わらず、
この医者の技量は「男性の高エストロゲン血症に対し追加検査をせずメンタルの問題で片付ける」という研修医レベルにすら達していない有り様です。
たぶんこの医者、ここまでに何人かうっかりミスで人を殺してると思う。
まとめ
というわけで、『ビッグオーダー』『マチネとソワレ』より想像妊娠に関する解説でした。
ヤブ医者のせいで忘れそうになりましたが、とにかく想像妊娠は令和の現代日本では考えにくいものというのが結論になります。
ちなみに2016年にインドで52歳の男性が想像妊娠したというニュースがあったりします。
記事によると、この男性は若いころに男性と関係を持ったことがあることから自分を妊娠したと思い込んでいたようです。(ちなみにこの52歳男性は2児の父です)
世界って広い。
以下、関連記事です。
今回ご紹介した2作品はそもそも性交渉なしの想像妊娠という稀すぎる事態でしたが、避妊は大事です。
男性同士で関係を持つといえば。
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現在、ニュースレター『産婦人科医やっきーの全力解説』を配信中です。
「男女の産み分けってできるの?」「逆子って直せるの?」「マーガリンは体に悪いの?」などの記事を基本無料で公開しておりますので、こちらもお楽しみください。
やっきー先生
いつも楽しく拝見させていただいております。
繁栄の象徴であるうさぎが、実際に
妊娠の検査に使用されていたというのは、
なんだかよくできた話でおもしろかったです。
ビッグオーダーの壱与のウサ耳のように、
妊娠のことならうさぎだろ、と案外素直な発想で
選定されたのかな?とフリードマン先生の思考が気になるところでした。
これからも記事の更新を楽しみにお待ちしております。
やっきー先生
いつも記事を拝読しております。
いつぞや質問箱に『ビッグオーダー』の質問をした者です。
いくつもの可能性を考えていただきありがとうございました。
僅かな描写からここまで考えつくところ、流石だと思いました。
無理はなさらず執筆楽しんでください。
おお!あの時の質問箱の方ですね。
記事化に時間がかかってしまい、大変お待たせしました。
引き続きお引き立てのほど、よろしくお願いします。