こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
ここ2回は医師国家試験や助産師国家試験の問題を解いてきましたが、今回から平常運転です!
久々の【漫画描写で学ぶ医学】はこちら!
原作・龍門諒先生、作画・恵広史先生による名作『BLOODY MONDAY』です。
2007年から2012年にかけて週刊少年マガジンに掲載された名作で、
2008年に三浦春馬さん初の単独主演作としてテレビドラマ化もされるなど大きな話題になりましたね。
ちなみに、あまり知られていませんが原作の龍門諒先生は週刊少年マガジンの元編集者(本名は樹林伸)でありながら、
様々な名義を駆使する超一流の漫画原作者でもあり、
『金田一少年の事件簿』の天樹征丸先生や『神の雫』の亜樹直先生と同一人物です。神かよ。
MMRのキバヤシと言った方が伝わりやすい人もいるかも?
他にも山ほど名作に携わっており、誇張抜きで漫画界の生きる伝説の一人なので気になる方は調べてみて下さい。
ジャンプの鳥嶋和彦、マガジンの樹林伸、サンデーの市原武法、チャンピオンの壁村耐三は漫画オタクとして絶対に押さえておきたい名編集者ですね。
それでは、本日はこちらの『BLOODY MONDAY』より主人公の父・高木竜之介について深堀りしていきましょう!
それなりにネタバレを含むので、これから読んでみたいという方は要注意です!
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『BLOODY MONDAY』
あらすじ・登場人物
まずは『BLOODY MONDAY』のあらすじを解説しましょう。
主人公は高校2年生の新聞部員・高木藤丸。
彼は一見、よくいるお調子者の高校生といった出で立ちですが、
その正体は謎の天才ハッカー『ファルコン』です。
犯罪者のコンピュータをハッキングして告発したり、政治家の汚職を暴くなどして「正義のハッカー」と呼ばれることもあるようですね。
その天才ぶりは尋常ではなく、普通のノートパソコンでロシア政府の諜報機関にハッキングして国家機密を当たり前のように抜き取ってきたりするので、その気になれば世界を動かすのも余裕だと思われます。
なお、第一部時点ではこれといった特徴のない顔立ちでしたが、第二部からはヒカルの碁の伊角さん級にイケメン化します。整形した?
そんな藤丸が全幅の信頼を置く相棒が、1学年上の幼馴染である九条音弥です。
頭脳明晰で運動神経も良いイケメンで、しかも祖父が法務大臣(のちに総理大臣)と家柄もパーペキです。
弓道の全国大会を二連覇するほどの名手でもあるため、テロリストに対しても通用しうる戦闘力を持ち、
しかもロシア語も多少できる高3です。なにもんやねん。
そして主人公・藤丸の父親は諜報活動・テロ行為やクーデターの防止を目的とした公安調査庁に所属する『THIRD-i』の副長、高木竜之介です。
頭の回転の速さや高い戦闘能力、何より強い正義感により部下からの信望も厚いイケオジです。
主人公の藤丸はかつて父・竜之介の仕事に興味を持ち、
『THIRD-i』のセキュリティを突破して機密情報を盗み見るなどして危険視されていましたが、
逆にその技術の高さが買われてサイバーテロの阻止・重要機密の暗号解読などを行うホワイトハッカーとして竜之介の職務に協力することとなりました。
そんな竜之介の活躍シーンですが、
基本撃たれて怪我ばかりしているので満足に動ける場面が少なく、
たとえ元気な状態であっても背後から近づいてきた上司を敵と勘違いして投げ飛ばしたり、
スパイとしてテロ組織に潜入していることを知らされていなかった部下を蹴って失神させたりと、
肝心のテロリストに対して戦闘を行う場面が少ないどころか身内に攻撃するシーンの方が目立つという非常に残念な事態となっております。
作中でもやたらと災難に見舞われることに定評のある残念なイケオジではありますが、
そこはやっぱりイケオジなので第一部で息子の同級生(高校2年生女子)とフラグを立てまくりました。
(息子の同級生が完全に女性の顔をしてますが一線は越えてないと思います。多分。)
そんな竜之介の長女で、主人公・藤丸の妹にあたるのが中学3年生の高木遥です。
見て分かる通り美少女です。この漫画にはヒロイン的キャラが数人出てきますがぶっちぎりの美少女です。
そんな彼女は腎臓に病気を抱えており、定期的に人工透析を受けています。
パソコンさえあれば大体のことはできる藤丸やフィジカル最強でイケオジの竜之介に比べるとこれといった特技を持たず、
しかも人工透析を受けなければならない時間制限が格好の交渉材料になるという、
テロリストから見るとうってつけ過ぎる人材のためピーチ姫よりも頻繁に拉致されることに定評があります。
ちなみに藤丸・遥の母親、竜之介の妻である高木加奈子は物語開始時点で既に死去しています。
主人公の藤丸は母である加奈子からパソコンを教わったことをほのめかすシーンがありますが、
結局のところ詳細には語られず藤丸のハッキングスキルがどういった経緯で得られたかは謎に包まれています。
第一部では宗教団体・神島紫門一派が国家転覆テロを企て、
テロリストの陰謀により竜之介が殺人事件の容疑者として指名手配されることから『BLOODY MONDAY』の物語が始まります。
誰が敵で誰が味方か、テロリストの目的とされる『BLOODY MONDAY』とは何なのか。
目まぐるしく錯綜する情報と予測不能な展開が繰り広げられる中、
藤丸は『ファルコン』としてその力を発揮し、相棒の九条音弥や『THIRD-i』と協力しつつテロリストの陰謀を食い止めるために奔走しました。
このようにパソコンが上手いだけの高校生がテロリストと戦って国家の危機を救うという中2感の溢れる作品ではありますが、
徹底して突き抜けた作劇によりご都合を感じさせず、高度なエンターテインメントとして昇華された名作、
それが『BLOODY MONDAY』なのです。
Season2 絶望の匣
『BLOODY MONDAY Season2 絶望ノ匣』では、上述の神島紫門一派のテロを阻止したSeason1(1巻~11巻)から2年後の物語が描かれます。
かつて冷戦時代に旧ソ連が制作した、広島型原子爆弾の数千倍の威力を持つ「ツァーリ・ボンバ」と呼ばれる核爆弾が存在しました。(史実でも存在します)
破棄される予定だったこの「ツァーリ・ボンバ」を8年前に過激派テロ組織『魔弾の射手』が手にして日本のどこかに隠しましたが、
このとき竜之介が『魔弾の射手』へスパイとして潜入しました。
竜之介は、「ツァーリ・ボンバ」の在り処を知る唯一の人間である『魔弾の射手』リーダーの火野アレクセイに近付き、
火野より早く核爆弾の隠し場所に辿り着くことで被害を食い止めるという大胆な作戦が執られたのです。
ちなみにテロ組織のリーダー・火野アレクセイ、通称「アーサー」もまた超絶イケオジです。
明言はされていませんが名前と略歴からは日本人とロシア人のハーフだと思われます。
このあたりで既に皆様はお察しのことと思いますが、基本この物語は美男美女しか出てきません。
それ以外は全員モブか死ぬ役か、あるいは死ぬモブのいずれかです。(例外は矢島さんくらい)
火野アレクセイ率いる『魔弾の射手』のメンバーは核爆弾「ツァーリ・ボンバ」のもとに向かいました。
それは東京の非公開の地下道に隠されているようです。
しかし彼らの動きは『THIRD-i』に補足されているので、
追手を撃退するため、火野は竜之介に地下道の入り口を封鎖するよう指示しました。
竜之介は火野と一緒に「ツァーリ・ボンバ」まで辿り着く算段だったため当てが外れてしまいますが、次善の策として火野へ発信機付きのガイガーカウンターを手渡します。
これで「ツァーリ・ボンバ」の場所が分かると踏んでいた竜之介でしたが、
火野はこの企みを看過していました。
火野は竜之介が『THIRD-i』のスパイであることを見抜いていたのです。
計5発の銃弾と刃物による刺し傷を与えたのちに約50分で絶命する神経毒を注射をし、
さらに追手のさらなる足止めを狙うため、神経毒の解毒剤を地下道のどこかに投げ捨てました。
その後、『THIRD-i』や主人公の藤丸、相棒の音弥たちが到着。
藤丸は音弥らとともに解毒剤の場所を探し出し、50分が経過する直前ギリギリのところで投与が間に合いました。
竜之介は一名を取り留め、病院へ搬送されました。
―――が、病院に到着した竜之介は危篤状態に陥ってしまい、
藤丸が遅れて病院に着いた時には既に帰らぬ人となってしまいました。
しかし竜之介はこと切れる直前、携帯電話に最期のメッセージを録画していました。
藤丸はこの言葉を胸に、テロリストの企みを打ち破る決意を新たにします。
高木竜之介を救う方法は?
うーん、ええ話や。
国のために命を犠牲にした父、その父の遺志を継ぐ息子。
『BLOODY MONDAY』随一の感動的な場面です。
が、しかしやっぱり医者としてはどうしてもこの病状経過が気になるものです。
そもそも竜之介の死因は何だったのでしょうか?
竜之介の死因
火野が神経毒を注射して50分が経過する直前に解毒剤の投与は間に合いました。
にもかかわらず竜之介が死亡した原因として、医師はこう話します。
「高木さんの体には両大腿部と両肩に1つずつの銃創‥ 左腕にも1発と更に刃物による裂傷もあった」
「それによる長時間の出血‥‥‥逆に毒が回った状態でよく保ったと‥‥」
要するに、直接の死因は火野が投与した神経毒ではなく出血死だったようです。
確かに病院搬送時には「大量出血です 血圧95/62!!」と言われていますね。
血圧とは?
さて、「血圧」という概念は一般の方々にとって地味に分かりにくいと思います。
「よく聞く言葉だけど意味を説明するのは難しい」という医療用語の代表例ではないでしょうか。
血圧について理解するために、まずは「血管」を「ホース」に、「血液」を「水」に置きかえて考えてみましょう。
このホースの中に十分な水が通っていなければ水をまくことができませんが、
十分な水が通っていれば水をまくことができますね。
人間の血管も同じで、十分な血液が血管の中を通っていれば体中に血液を巡らせることができます。
そして「血圧」とは「ホースの中を通っている水の流れの勢い」≒「血管の中を通っている血液の流れの勢い」です。
血液がそれなりに勢いよく流れていないと血液がうまく体中を巡ることができないのです。
そのため、「低血圧」という状態は「水の勢いが弱い」≒「体に血がうまく巡っていない状態」、
「高血圧」という状態は「ホースが詰まって水がうまく流れない」≒「血管が老朽化しているなど、何らかの異常がある状態」と言い換えることができます。
「なんで腕を締めたりゆるめたりしたら血圧が測れるの?」という疑問に関しては、
死ぬほど説明が面倒なので血圧の妖精さんが腕に抱きついて血圧を測ってくれてるのだという認識でOKです。
「上の血圧と下の血圧ってどう違うの?」という疑問に関しては、
果てしなく説明が面倒なのでおっぱい派とお尻派みたいなものだという認識でOKです。
どちらも大事ですし、どちらも尊いですね?そういうことです。
話が脱線しました。
竜之介の症例を見てみると、血圧は95/62と低めです。
健康な成人男性ならだいたい110~120/70~80くらいが正常値です。
人間の体はうまくできており、少しくらい血液を失ったとしても血圧≒血が流れる勢いが下がらないようになっています。
具体的には心拍数を速めたり、血管を締めたりすることで自動的に血圧を調節する機能が備わっているわけですね。
しかしあまりにも大量に出血しすぎると、この血圧調節機能もどこかで限界を迎えます。
実際の医療の現場では「1分間あたりの脈拍数」が「上の血圧」を上回ると、血圧を保てていない≒出血しすぎてヤベェという感じで使われます。
竜之介の脈拍数は描かれていませんが、少なくとも1分間に100回を上回るくらいの頻脈になっている可能性が高いですね。
さらに、意識を喪失しているということは生命維持に不可欠な脳にまわす血液すら十分に確保できていない状態であると言えます。
上の血圧が95もあれば意識喪失まですることは考えにくく、
血圧測定には誤差が出ることも多いので、実際の血圧はもっと低いと思われます。
何にせよ、出血がひどかったことが伺えますね。
神経毒とは?
次に、火野が打った神経毒について考えてみます。
そもそも「神経毒」とは何なのでしょうか?
これは、読んで字のごとく「神経に作用する毒」のことです。
代表的なのがコブラ・ウミヘビ・サソリの毒、フグの毒などで、
人命にかかわる状況としては毒が神経をしびれさせる⇒呼吸筋の麻痺⇒息ができない⇒死亡、といった転帰をとることが多いです。
とはいえこれだけでは幅が広すぎて毒の種類が推定できません。
手掛かりになるのは「解毒剤がある」という事実ですね。
フィクションではたいてい毒と解毒剤がワンセットになっていますが、はっきり言ってそんな都合の良い毒はそう多くありません。
例えば上に挙げたフグの毒(テトロドトキシン)の解毒剤(拮抗薬)は未だに存在しません。
しかし、(解毒剤と呼んでいいのかはちょっと疑問ですが)コブラ・ウミヘビ・サソリの毒には血清が存在します。
血清とは、簡単に言えば毒物に対抗してくれる薬みたいなものです。(厳密にはちょっと違いますがこの認識でOKです)
おそらく火野アレクセイはコブラ毒などの猛毒を注射したのでしょう。
神経毒を投与された時の経過は?
例えば、過去の症例だとコブラに咬まれた場合は…
……
咬まれた場合は…
…
コブラに咬まれた時の経過が書かれた日本の文献が見つからん。
手元にあるどんな救急医学の本を読んでも、国内の文献を調べてもコブラに咬まれた時のことなんてどこにも載っていません。
まあ考えてみればそりゃそうです。
コブラどころかウミヘビやサソリも日本にはほとんどいませんし(沖縄など南西諸島にごく少数のみ)、
コブラに咬まれるシチュエーションなんて日本でレア中のレアケースです。
そんなのを日本で出版する本に載せても紙のムダです。
ちなみに日本に生息するマムシやハブの毒は出血毒なので神経毒の場合と根本的に症状が異なります。
仕方ないのでいつもの最終手段、世界中の医学文献が集まるPubMedで探してみましょう。
「cobra case report」で検索をかけてみると、
(こんなことをPubMedで検索する産婦人科医はたぶん日本中で私1人だと思う)
竜之介の状況にぴったりの症例報告を見つけました。
日本語で言うならば「重度のアナフィラキシーを発症した、イギリスで最初に確認されたキングコブラ咬傷の治療例」といったところでしょうか。
経過の要点だけをまとめると、こんな感じだったようです。
・22歳の男性
・キングコブラに左人差し指を咬まれて、20分以内に病院に到着
・来院時の主訴は「めまい」のみ
・病院到着から10分以内に眼瞼下垂(まぶたが開きにくくなる)を発症
・ロンドンの病院にキングコブラの血清を緊急で注文
・病院到着から30分以内に呼吸困難感が出現し、唾液が呑み込めなくなる
・鎮静をして人工呼吸管理を開始し、ICUに入室
・患者が咬まれてから6時間後にキングコブラの血清が到着し、持続静脈注射を開始
・血清に対するアナフィラキシーを発症したため中止
・アドレナリン・抗アレルギー剤を注射開始し、アナフィラキシーは改善
・咬まれてから17時間後に運動機能が回復
・咬まれてから24時間後に退院
Treatment of the first known case of king cobra envenomation in the United Kingdom, complicated by severe anaphylaxis
この症例を見てみると、呼吸困難感が出現したのは咬まれてから1時間後です。
火野が投与した「50分後に死亡する神経毒」とすごく特徴が似通っていますね。
そして火野が投げ捨てた「解毒剤」がコブラの血清だとすれば、(筋肉注射か静脈注射かの違いはありますが)これまた納得の状況です。
ただ納得できないのは、こういった血清は常温だと腐るので冷蔵保存が必須です。
だからこそ、コブラや猛毒サソリがそのへんを歩いてるような地域では近くの病院に血清が置いてあるかが命を分けますし、
新興国などでは病院にも電気が通ってなかったりするので死活問題になります。
このオッサンが持ってるアンプルはたぶん人肌のぬくもりが感じられる温度だと思われるので失活している可能性がありますね。
つーかコブラ毒といい血清といい何でそんなもん持ち歩いてるの?
毒と解毒剤はテロリストの嗜みなの?
藤丸はどうすればよかったのか?
そんなこんなで竜之介が火野から一方的に攻められ、
太くて長いものの先端から出てくる謎の液を注射されるという
一部のお姉様方が歓喜するシチュエーションが完成したわけですが、
それはさておきタイムリミットの50分まであと17分というタイミングで藤丸がやってきました。
竜之介は「どのみち解毒剤がなければ助からん‥」と言っていますが、
上のキングコブラの症例を見て分かる通りそうとは限りません。
神経毒による直接の死因の多くは呼吸に使う筋肉が麻痺することによるものなので、人工呼吸器を繋げば当面は命を保たせられるはずです。
病院に着きさえすれば人工呼吸を始められますし、その間に銃撃を受けた場所の止血処置もできます。
この間にゆっくり解毒剤を探すなり、注射された毒物の成分を調べるなり進めればよいのです。
救急車には人工呼吸に使う道具が搭載されていますので、すぐに救急車を呼んで竜之介をそこまで運ぶのが最善だったと思われます。
とはいえ、なかなか冷静にはいられない状況だったので仕方ないところもあるでしょうし、
むしろタイムリミットまでの間に解毒剤を見つけ出した藤丸たちを褒めるべき状況ではありますね。
病院側は何をすればよかったのか?
それに引きかえどうしようもない対応をしたのが担当した救急医です。
大量出血だという触れ込みで搬送を受けてるくせに、竜之介がメッセージを録画している間に点滴ルートのひとつも取らずに突っ立ってます。
出血したならとにかく点滴や輸血をして失った血液を補うのが最優先であり、それくらいの処置は最期のメッセージを残しながらでもできます。
また、こういう大量出血だと体中の酸素も足りていないので、せめて酸素マスクくらい付けるべきですね。
救急の初期対応で行うべきことが何ひとつできていません。
結論として、竜之介が死んだのはこの病院の対応が悪かったことが一因です。
遥の腎移植
さてさて、これで竜之介の死亡に関する考察は終わりなのですが、もう1つだけ考えなければならないテーマがあります。
藤丸が解毒剤を探している最中、竜之介は藤丸にある遺言を託していました。
腎臓病で透析を受けている遥に腎臓を移植してほしいと言うのです。
果たして死んだ人からの臓器移植は可能なのでしょうか?
実は、腎臓は移植が比較的うまくいきやすい臓器のひとつです。
「臓器移植」というと生きている人や脳死した人から臓器を取り出して患者さんに移植するものというイメージがありますが、
心停止した人でも腎臓・膵臓・眼球(角膜)に関しては臓器移植が可能です。
もちろん、生きている人から健康な腎臓をもらってすぐに移植できればそれに越したことはありません。
生きている人からの腎臓移植を「生体腎移植」と呼び、これに対して死亡した人から腎臓を取り出して移植する方法を「献腎移植」と呼びます。
献腎移植と比べると生体腎移植の方が生着率(移植後に腎臓が機能している割合)は高いのですが、
それでも移植技術の向上や、移植後の管理に関するデータが蓄積されつつあるおかげで献腎移植の生着率も非常に優れています。
ただ、気になるのは出血性ショックで急死した上に(解毒剤を入れたとはいえ)神経毒をぶち込まれたというドナーとしての竜之介の条件の悪さですね。
献腎移植のドナーには以下のような条件があります。
要約すれば「感染症がない」「がんに罹患していない」といったところです。
これを読む限り、見るからに健康そうな竜之介は(たぶん)この条件には当てはまらないと思われます。
ただし神経毒をブチ込まれている状況というのはそもそもこういうドナーの適応基準を決める委員会にとって想定外にも程がある状況なので、最終的には現場の判断ということになるでしょうね。
「竜之介の死因が明らかに出血死であること」「死ぬ直前に神経症状が無かったこと」「肉親である藤丸の強い希望」等を理由に半ば賭けてみたに近い状況だと思われます。
手術後、遥の腎臓は無事に生着し、第三部にて少なくとも一年半はしっかり機能していることが描写されています。
この病院の泌尿器科医は非常に優れた技術を持っていたことが伺えますが、
それに対して救急医は相当に突っ込みどころ満載のダメ医者ですね。
怪我人が多いであろう『THIRD-i』用の病棟だというのに救急医がこのレベルで日本の国防は大丈夫なのでしょうか。
まとめ
以上、『BLOODY MONDAY』より高木竜之介に関する考察でした。
竜之介のことは一旦置いておいて、腎臓移植を受けた可愛い僕らの遥ちゃんがその後どうなったのかを追ってみましょう。
音弥の家に1年も同居している…だと…?
もげろ。
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