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こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
突然ですが、このブログをお読みの皆様は肛門から水分を補給したくなったことがありますよね?
私は変態ではないのでありません。
しかし、極限状態における肛門からの水分摂取を実践した漫画が存在することをご存知でしょうか?
それこそがサバイバル漫画『ソウナンですか?』です。
本日は『ソウナンですか?』に登場した伝説のシーン、肛門からの水分補給について考察していきましょう。
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『ソウナンですか?』
『ソウナンですか?』は原作:岡本健太郎先生、作画:さがら梨々先生による女子高生サバイバル漫画です。
物語は修学旅行中の飛行機が事故を起こし、
4人の女子高生が海上に遭難した場面から始まります。
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遭難者の内訳は、クールで可愛い鬼島ほまれ、
お嬢様で可愛い九条紫音、
真面目で可愛い天谷睦、
ボーイッシュで可愛い鈴森明日香の4人です。
そんな彼女たちは無人島に漂着することになりました。
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殆ど何の道具も食料も無いという絶望的な状況でしたが、
遭難者の一人である鬼島ほまれは幾多もの遭難経験があると話します。
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彼女は幼少期に母を亡くしたため、元軍人である父親とともに世界中を旅し、
その中で様々なサバイバル技術を教え込まれました。
ほまれは自らのサバイバル技術を発揮し、島内での食料や飲み水の確保、道具やシェルターの整備など、
4人のリーダー格として無人島生活を過ごしていくことになります。
…と、ここまでなら女子高生がキャッキャウフフするよくある萌え漫画のように見えますが、
4人のサバイバル生活は現実的かつ真剣です。
例えばリーダーであるほまれは、第1話からトビウオを絞って水分を摂取するほど。
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原作者の岡本健太郎先生は猟師ルポ漫画『山賊ダイアリー』を前作に持つ現役の猟師でもあり、
野生動物の捕獲・解体・調理・味などについては一般人よりも遥かに精通していますから、描写にも説得力があります。
それでいて何でもかんでも現実的にするわけではなく、物語上必要な部分は適度にフィクションに落とし込んでいます。
(岡本先生のブログでそれらの裏話が書かれています)
このリアルとフィクションのバランスが絶妙であり、4人の軽妙な掛け合いとほまれのサバイバル術の異様さも相まって真剣ながら深刻さを過度に感じさせないという秀逸な作りになっています。
好評の末に2019年にはアニメ化も果たしました。
伝説のシーン
さて、肛門から水分を摂る伝説のシーンは3巻に収録されたエピソードです。
遭難者の1人・お嬢様のしおんは魚を獲るため、イカダに乗っていました。
しかし離岸流に流され、拠点の島を見失ってしまいました。
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潮に流されるままに移動していると、島を発見しました。
しおんは緊急避難的に上陸しますが、そこは島というよりは単なる岩山に近く、
草木はおろか飲み水も補給できそうにありません。
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一方その頃、しおんが居なくなったことに気付いたリーダーのほまれはしおんを追いかけて救助に出ていました。
水も食べ物も満足に摂れていないしおんは半ば諦めて岩山に座り込んでいましたが、
ほまれの懸命な捜索により無事にしおんを発見、再会を果たします。
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とはいえ、良いことばかりではありません。
しおんの救助に焦ってしまい、ほまれは水を持ってくるのを失念していました。
水分を調達できなければ厳しい状況です。
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この岩山で水場になりそうなのは洞窟のみでしたが、
そこに溜まった雨水はコウモリの糞で汚染された上に腐っており、とても飲用に耐えるものではありませんでした。
やむを得ず、この汚水を容器に保管だけしておいて拠点の島に戻ることにしました。
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しかし行きと異なり、帰りは潮と逆流しながら海を進む必要があります。
さらに炎天下とあって、二人とも脱水症状が深刻化し始めました。
(海水を飲むと脱水はさらに進行してしまいます)
しおんは、先ほど洞窟で見つけた汚水を指さして尋ねます。
「あの洞窟の汚水… 何に使うの?」
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ほまれ「水分は今すぐとる必要がある!しかしその水は飲めない!!ではどうするか?」
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かくして2人は窮地をしのぎ、アスカ・むつが待つ島へ帰ることに成功しました。
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肛門から水分を摂れるのか?
いやあ、感動的な話でしたね。(棒読み)
ちなみにこのシーンはアニメ版でも完璧に再現され、海外のアニメファンを中心に当時大きな話題となりました。
そりゃそうだ。
さて、実際に肛門から水分を摂ることはできるのでしょうか?
………
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医者をやって10年近く経ちますが、そんな手法はまったく聞いたことがありません。
そこで、いつものように国内の医学文献を「直腸 水分 摂取」や「肛門 補液」など様々なワードを使って検索してみましたが、
ほまれが行ったような水分補給の方法について書かれた文献は全くヒットしませんでした。
一応Googleでも調べてみましたが、こちらも目ぼしい文献は引っかかりません。
ちなみにGoogleだと、検索ワードを一歩間違えるとハードコアなアダルトサイトが出てきたりしたので心臓にもちょっと悪かったですね。
世界中の医学文献が集まる検索サイト「PubMed」でも調べてみましたが、こちらでもお目当ての情報に辿り着けませんでした。
最後の頼みの綱として海外のGoogle検索を様々なワードで徹底的にあたってみたところ、
ついにそれなりに信憑性のある記述が見つかりました。
![やっきー](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/b71e869b5da1518a8bf4fbed1b29539c.png)
途中、やべぇ外国人のやべぇプレイ動画が流れてきて心が折れそうでしたが。
そんな精神汚染に耐えた末に見つけたサイトが、イギリスのREAL First Aidです。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-38-1024x411.png)
REAL First Aidは、いわゆる応急処置の方法などをトレーニングするための機構です。
日本で言うACLS協会に近い役割ですね。
日本のACLSやBLSなどは基本的な救命処置の流れをトレーニングするようになっていますが、
お国柄なのかREAL First Aidではそこそこ重い怪我の現場も想定した訓練が積めるようになっているようです。
Emergency Rectal Hydration
そのREAL First Aidの中で紹介されているのが、“Emergency Rectal Hydration in Remote Environments”です。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-26-1024x463.png)
当然ながら全部英語なので翻訳がちょっと面倒ですが、
このページの内容を意訳しつつ紹介していきましょう。
タイトルの“Emergency Rectal Hydration”は「緊急時の直腸水分補給」とでも訳しましょうか。
意識がない患者や、ひどい熱中症で吐き気のある患者、ショックの患者などは水分を飲めないことがあるよね。
水分摂取は本当に大事で、「脱水か死か」って呼ばれるくらいなんだよ。
本当なら血管から点滴をしてあげるのが良いんだろうけど、血管に針を刺すのには技術がいるよね。
点滴できる人がいない場合もあるし、病院に運べない状況もあるだろう。
そういう場合はどうしたら良いだろうか?
REAL First Aid – Emergency Rectal Hydration in Remote Environments
このように、この講座は病院から離れた場所や医師・救急救命士などがいない場合を想定しているようです。
文中には「衛生兵」などの単語も出てきますし、戦争中の応急処置についても想定していますね。
実は、第一次世界大戦中に応急処置の手法としてRectal Rehydration / 直腸水分補給が採用されたんだ。
その後は点滴という手法が広まって使われなくなったけど、2005年に病院から離れた場所での応急処置として再び注目を集め始めたんだ。
今でも、発展途上国や農村地域の人たちにとって重要な応急処置と言えるはずだよ。
やり方はこんな感じだ。
REAL First Aid – Emergency Rectal Hydration in Remote Environments
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-27-1024x541.png)
この図のように肛門からカテーテル(管)を入れて、無理やり押し込むのではなく重力だけでゆっくり入れていくようです。
清潔な水を使うか、自然の水を使う場合は濾過した後に煮沸するのが望ましいとのことですね。
というわけで、肛門(直腸)から水分を摂取する手法“Rectal Rehydration”には医学的な根拠が存在することが分かりました。
ただし“Emergency Rectal Hydration in Remote Environments”の参考文献には
「wonded soliders(負傷兵)」「extreme environments(極限環境)」などかなり物騒な言葉が使われていますので、
現代の日本でRectal Rehydrationを使うべき場面は考えにくいかもしれません。
![やっきー](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2022/10/4d86ed88b9a6723f6ac9ce6241be324f.png)
現に国内の文献がひとつも見つからなかったところを見ると、日本で使われるケースはほぼ無いようです。
ベア・グリルス『MAN vs. WILD』
さて、実は今回の調査(Google検索)を行うにあたり頻繁に名前を見かけた方がいます。
彼こそがベア・グリルス。イギリス出身の冒険家であり、過去にはイギリス陸軍特殊部隊に在籍していた経験もあります。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-28-e1673332964483.png)
彼の経歴についてはWikipediaや公式サイトを参照して頂くとして、
何を隠そう彼はRectal Rehydrationを実演したことがあるのです。
かつてディスカバリーチャンネルにて『MAN vs. WILD』(邦題:サバイバルゲーム)というテレビ番組が放映されていました。
この番組は、極限状態(無人島、砂漠、ジャングル、火山、北極圏など)に放り込まれたベア・グリルスが様々なサバイバル術を披露するという内容です。
その詳細はちょっとここでは書けないレベルなので各自で調べていただくとして、
あるエピソードで彼は太平洋を漂流することとなりました。
ここからは実際に放映された映像とともにお楽しみ下さい。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/bear-1-1.jpg)
![ベア・グリルス](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/097ab20ec9a47855c2dd8a5d75e97628-e1673334456673.jpg)
新鮮な水を集めたが 鳥のフンまみれで悪臭がする。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/bear-2-2.jpg)
![ベア・グリルス](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/097ab20ec9a47855c2dd8a5d75e97628-e1673334456673.jpg)
飲めば腹を壊して、脱水症状に陥る危険もある。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/bear-3-3.jpg)
![ベア・グリルス](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/097ab20ec9a47855c2dd8a5d75e97628-e1673334456673.jpg)
しかし、この水を体内に入れる方法はある。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/bear-4-4.jpg)
![ベア・グリルス](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/097ab20ec9a47855c2dd8a5d75e97628-e1673334456673.jpg)
浣腸をするんだ。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/bear-5-5.jpg)
![ベア・グリルス](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/097ab20ec9a47855c2dd8a5d75e97628-e1673334456673.jpg)
浣腸は喉につかえず水分補給できる。嘔吐する危険性もない。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/bear-6-6.jpg)
![ベア・グリルス](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/097ab20ec9a47855c2dd8a5d75e97628-e1673334456673.jpg)
体を楽にして祖国を思い浮かべる。
![やっきー](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2022/10/a8d9df951dad0336d175feeab3774b45.png)
Oh… Crazy…
ちなみにベア・グリルスのサバイバル術がふんだんに盛り込まれた著書の日本語訳『究極のサバイバルテクニック』も出版されていますので、気になる方はチェックしてみて下さい。
感染性腸炎
というわけで、鳥のフンで汚染された水を肛門から補給した男が現実にいることが分かりました。
しかし“Rectal Rehydration”はあくまでも清潔な水を入れることを前提としているので、
ベア・グリルスのように汚水をぶち込むとなると話は変わってきます。
ほまれやベアが危惧している通り、汚水をそのまま飲むと感染性腸炎のリスクがあります。
感染性腸炎とは、菌やウイルス・寄生虫などが腸に感染し、下痢や発熱・血便などを引き起こす感染症のことですね。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-32-300x300.png)
感染性腸炎には大きく分けて「小腸型」「大腸型」「穿通型(小腸と大腸の境目あたり)」の3つが存在します。
要は、病原菌・ウイルスの種類によって「腸のどのあたりに感染しやすいか」という傾向があるわけです。
これは日本大腸肛門学会が出している「感染性腸炎」のページに詳しいですね。
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あくまでも理屈上ですが、ベア・グリルスが行ったように肛門から汚水を入れる場合、
大腸型以外の感染性腸炎のリスクは多少低いのかもしれません。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-30-300x300.png)
しかし、大腸型の感染性腸炎については完全に無防備(むしろ胃酸で消毒されないぶん菌は活き活きとしています)ですし、
上の図表に載っていない寄生虫や真菌(カビ)のリスクもあります。
さらに何かの間違いで肛門や直腸の壁に穴でも開いた日には、腸壁という感染防御機構を乗り越えて病原菌が体内に押し寄せてきます。
この状況はもはや死あるのみでしょう。
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結論として、この水分補給法は絶対におすすめしません。
あえて言うならば、清潔な水が全く手に入らず、脱水症で命の危険がある場合の最終手段中の最終手段です。
その状況でもあまりお勧めしたくはないですが。
ほまれ・しおんの状況
というわけで、『ソウナンですか?』のほまれとしおんの状況を再び確認してみましょう。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/37-2-1-e1673150885457.jpg)
ほまれ・しおんの状況がベア・グリルスと大きく違う点としては、
「コウモリの糞で汚染された水」「口移しで肛門に入れている」の2点ですね。
そしてコウモリの糞はそれはもうとんでもなくヤバいです。
コウモリは人間にも感染するウイルスを大量に保有しています。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/image-34-300x237.png)
具体的にはアルボウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、ニパウイルス、ハンタウイルス、ヘンドラウイルス、リッサウイルス、コロナウイルスなどを保有している可能性があります。
ウイルス感染症に詳しい人ならこのラインナップを見ただけで一生コウモリには近寄らねぇと思えるレベルの殺人ウイルスオールスターなわけですが、
とりあえずコウモリが持ってるウイルスは本気でヤバいということさえ覚えていれば充分です。
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幸い、これらのウイルスの中には国内のコウモリでは確認されていないものも多いですが、
ほまれ達の無人島が作中時点で何処にあるのかはまったく不明(終盤で日本領海内であることが示唆される程度)ですし、感染症リスクが高いことに間違いはないですね。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/37-4-3-e1673151910446.jpg)
そして次に気になるのは口移しで肛門に入れているところです。
さすがに直後に海水で口をしっかり洗っているとは思いますが、
それでも100%完璧に菌やウイルスを洗い流すのは至難の業でしょう。
汚水の一部が口腔内や鼻腔内に残ったり、飲み込んでしまったりする可能性があります。
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これではせっかく肛門から水分を摂取した意味がありませんね。
結論
結論としては肛門から水分を摂取することは可能であり、その手法も確立されていますが、
汚水を直腸に入れるのは脱水で命の危険がある状況以外は絶対にNG、ましてや口移しなんて絶対にしない方が良いということになります。
ちなみに、ほまれは「胃を通らないから安全性が高い!!」と言っていますがこれは明らかに間違いです。
![](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2023/01/37-4-4-e1673343649340.jpg)
感染症的には、胃を通ること自体はむしろ良いことです。
アニサキスなど胃に住みつく寄生虫も一部居ることは居ますが、基本的には胃酸で殺菌するメリットの方が大きいですからね。
あえて言うとすれば、「その水は肛門から飲む!!小腸を通らないからまだマシ!!」といったところでしょうか。
この後、ほまれやしおんが下痢や謎の感染症に悩まされた描写はありませんので、たぶん大丈夫だったのでしょう。
なんて頑丈な身体なんだ。
まとめ
以上、『ソウナンですか?』より肛門からの水分補給に関する考察でした。
個人的にはRectal Rehydrationという手法が存在すること自体が非常に勉強になり、医者として大満足です。
そしてそれを汚水で実演した人がこの世に実在することも知ることもできました。
![やっきー](https://yacky-sanfu.com/wp-content/uploads/2022/10/a8d9df951dad0336d175feeab3774b45.png)
世界って広いですね…
唯一の懸念は、これを今後の医者人生で使う機会はたぶん無いという事ぐらいでしょうか。
また、『ソウナンですか?』はこのようにぶっ飛んだこともしていますが漫画としては非常に面白いですし、サバイバル知識も勉強になります。
まだ読んだことのない方には是非、ご一読をお勧めします。
以下、関連記事です。
極限状態での医療描写が描かれた『自殺島』の解説記事です。
『ソウナンですか?』に勝るとも劣らぬシモの話の多さ、『乙女のホゾシタ』の解説記事です。
今更ですが、ソウナンですか?のアニメを見て、腸から(汚染された)水分補給しかも口移しという手法が本当にサバイバル時に使えるのか、ということに疑問を持って検索した結果、こちらのサイトに行き当たりました。
自分でも他のブログや考察、文献等読んでみましたが、こちらのサイトほどわかりやすく、かつ説得力のあるものは見つからなかったと思います😅
これだけ深く調べるのは大変だったのではと思いますが、全文読んで自分の感じた疑問が全て氷解し大変感動しています。
一言お礼を言いたくて…ありがとうございます!
お読み頂きありがとうございます。
こういった「現代日本に通常存在しない医療」について調べるのは非常に難航するのですが、そう言って頂けて感激です。
これからもより良い記事を作って参ります。
『漂流者は何を食べていたか』(椎名誠著、新潮社)の孫引きになりますが、『荒海からの生還』(ドゥガル・ロバートソン著、河合伸訳、朝日新聞社)という本に、家族と一緒に海で遭難した助産師の資格のある女性が、飲用には適さない水を簡易ポンプで直腸から入れて水分補給を試みる話が出てくるそうです。
その水は海上で採取したものらしいのでコウモリの糞で汚染されていることは流石に無さそうですし、当然口移しでもありませんが、てっきりこの漫画のエピソードもその本が元ネタかと思いました。
ベア・グリルスが直腸からの水分摂取の際にそのエピソードについて触れていましたので、恐らくベアが元ネタのソウナンデスに関してもそちらが元ネタの元ネタという事で差支えないのではないでしょうか。
自分もこのエピソードが頭に浮かんだが、何で読んだのか思い出せなかった。椎名誠であったか。私の記憶では機械油混じりの水だったような。
菌に寄生虫…恐ろしすぎる
日本だと「滋養浣腸」って形で今でも保険点数資料にだけ名前が残ってると思います
点滴が一般的でなかった時代の物らしいですが
おっしゃる通り、調べたら出てきました。
保険が効く医療行為だったとは…情報提供ありがとうございます。