【経験談】医者になった理由、産婦人科医を選んだ理由

こんにちは!
産婦人科医やっきーです。

先日、医療ブロガー仲間のぽりぽり先生が
【こどもにオススメな職業】医者になってよかったと思う理由
という記事を執筆されていました。

これは素晴らしい記事で、医師という職業の楽しさ、3児の父という観点からの子供に勧められる理由を、ご自身の体験談を交えつつ詳細に書かれています。

医師や医者志望の方々には是非、お読み頂きたい良記事です。

そんなわけで、せっかくなので私もパクって自分の半生を振り返りつつ、
私なりの視点で医師という仕事について書いてみようかと思います。

やっきー
やっきー

いつもと毛色の違う記事になりますが、よろしければお付き合い下さいませ。

医師を志した理由

さて、私が医師を志した理由は簡単です。

「父が医師だから」「経済的に優れているから」の2点です。

私の父は、私と同じく産婦人科医です。
私が小学生に上がる頃までは勤務医として、私が小学生になる頃からは開業医として、
70歳を超えた今でもなおしっかり現役で働いています。

突発的なアクシデント等で忙しそうにしている時期もありましたが、
概ね父が働いている姿はひたすらに楽しそうだったのです。


そして、段々と世の中が見えてくるようになると、あることに気付きます。
どうやら世の中の人々は仕事が辛くてしんどいものらしい。
通勤が嫌だ、会社が嫌だ、上司が嫌だといった声は、私の耳にも届いてきます。

しかし、私の父はえらく生き生きと仕事に行っているぞ…?
とても父が嫌々働いているようには見えませんでした。

そんな父の姿を見て、何となく「医者って楽しいんだろうなあ」
「私はたぶん将来医者になるんだろうなあ」
とぼんやりと考え始めました。

その考えがさらに固まったのは、小学校4年生くらいの頃だったと思います。
小学校で「将来の仕事について考えよう」といった内容の授業がありました。

教材の本には、様々な職業の大まかな内容や平均年収等について記載されていました。
すると、「医師」の年収は「パイロット」「弁護士」などと共に、かなりの上位にランキングされているではありませんか。

私は現在でもそうですが、幼少期から多趣味で、
漫画を読むことは勿論、ジャズピアノ・音楽も大好きですし、自転車にも乗ります。
カードゲーム(MTG)もやりますし、プロ野球が好きで北海道や沖縄に観戦旅行もしました。
趣味で始めた某競技に熱中しすぎて、ある時は世界大会に出場したこともあります。(ニッチな競技なので内容は明かせませんが)

そして趣味にはお金がかかる、ということも小学生ながら認識していました。

私は決めました。

やっきー
やっきー

趣味のために使うお金がしっかり稼げる仕事に就こう。

やっきー
やっきー

そのためには、やっぱり医者になろう。父を見てると楽しそうだし。

両親にこの希望を告げ、私の人生の指針は決まりました。

その後、中学受験に成功し、一年間の浪人生活を経て無事に大学に合格します。
特にこの浪人生活は、今思い返しても地獄としか言いようがない時代でした。

趣味に熱中するあまり中・高時代に全く勉強をしていなかった私が、
浪人生活を乗り切った方法、私が医学部に入るまでの道のりについては、後日改めて記事にさせて頂きます。

ともかく、努力と戦略を駆使してどうにか医学部に入学することができました。


産婦人科医になるまで

医者が内科医になるか、外科医になるか、産婦人科医になるか…
といった志望科を選択するのは、医学部を卒業してから3年目です。

医学部卒業後1~2年目は「初期研修医」と呼ばれ、
内科や外科など様々な科で研修を積み、基礎的な知識や技術を習得するための期間として扱われます。

この期間は志望科を考えるための時間も兼ねているところがあります。
研修医とはいえ臨床に触れていると、良くも悪くも「思っていた感じと違った」ということは珍しくありません。

実は私、学生時代は救急科か泌尿器科の二択で考えており、
産婦人科医になろうとは全く考えていませんでした。

友人医師
友人医師

やっきー、何科を選ぶの?親父さんの後を継いで産婦人科?

やっきー
やっきー

救急医は実用性があるし、初期対応も好きだからいいなあ。

友人医師
友人医師

うん。

やっきー
やっきー

泌尿器科は専門性が高いし、疾患のイメージもしやすいな。

友人医師
友人医師

うんうん。

やっきー
やっきー

産婦人科医は…興味ないかな。

友人医師
友人医師

うそやん。

実際、周りを見てみても2世医師は親と同じ科を選ぶことが多いです。
そのため、私が産婦人科に全く興味を持っていないことに友人達は驚いていました。

そんな私が産婦人科で研修することになったのは、医者になって4か月目のことです。
産婦人科の研修で、さっそく帝王切開の手術の助手に入ることになりました。

学生時代は外で見学してただけの産婦人科の手術ですが、実際に手術に参加したのはこれが初めてでした。

もちろん、そんな研修医がまともに手術をできるわけではないので、
産婦人科の先生達のサポート役でしかありませんが、
それでも初めて入る帝王切開には緊張しました。

お腹が切られ始め、子宮にメスが入り、赤ちゃんが出てきます。

そして目の前で赤ちゃんの産声を聞いた瞬間、
雷に打たれたような衝撃を覚え、同時にこう確信しました。

やっきー
やっきー

あ、これだった。自分が進む科は産婦人科だ。

元々考えていた救急科と泌尿器科は吹っ飛びました。

そんなこんなで産婦人科医になり、今に至ります。

産婦人科医になって思うこと

他科の先生からは「産婦人科は医療訴訟が多そう」「忙しそう」などの声が寄せられることが多いです。

それは確かにそうです。
産婦人科は特に訴訟リスクの大きい科として知られています。
(出典:医事賠償責任保険ガイド 平成24年までのデータ)

また、お産は調整しようとしてできるものではないので、
産婦人科医という仕事は忙しい時は倒れそうなほどに忙しいですし、
異所性妊娠、卵巣腫瘍茎捻転など、お産以外で緊急手術が必要な事態も珍しくありません。

時には赤ちゃんの命が危ぶまれることもありますし、力及ばず不幸な結果になったこともありました。

当直で夜に呼び出される頻度や、精神的な負担の強さなどを考えると、
決して健康に良い科ではないと思います。
下手したら数年は寿命が縮まっているかもしれません。

QOML(医療従事者としての生活の質)だけを追い求めるなら選ぶべき科ではないと思います。

それでも赤ちゃんの元気な声を聞く時や、お母さんの嬉しそうな顔を見るたび、
「やっぱり産婦人科医を選んでよかった」と思うわけです。

こんなにも生命の神秘に触れられる仕事を、私は他に知りません。
もちろん向き不向きはあると思いますが、私は産婦人科を選んで良かったと心から思います。

言ってみれば、殆どの科は病気や怪我に対して治療を行う、
つまり「マイナスの状態からゼロ(健康な元の状態)に近づける」という行為が目的です。

しかし、産婦人科には「ゼロの状態からプラス(新しい生命)を生み出す」という、他の科にはない特性があります。(他の科を否定する意図は全く無いことをご承知おき下さい)

さらに、婦人科腫瘍や女性ヘルスケア、生殖医療といった形で、
女性の健康を様々な形からサポートするという受け口の広さもありますので、
多少歳をとっても、体を悪くしてもある程度続けていける仕事でもあります。

仮に神様から「今から他の仕事に就いてもいいよ。それに必要な知識も技術も人脈も全部あげるよ。」と言われても、2秒悩んで産婦人科のままでいると思います。

産婦人科は確かに忙しいですが、こんなブログを書けて趣味にも没頭でき、当直日以外は家族の食事を作れる程度には充実した毎日を過ごしています。

余談

ちなみに私は、
「漫画が好きなので漫画に関するブログを書きたい」
「せっかくだから普通の漫画好きには無い視点からの記事を書こう」

ということで、このような産婦人科医目線での漫画紹介ブログを立ち上げることにしました。

この観点だと産婦人科医は非常に有利です。
というのも、物語の本筋に妊娠や出産が絡むことがすごく多く、ネタに全く困りません。

これが仮に「漫画大好き心臓外科医」とかだと、
医療漫画以外はキャプテン翼の三杉くんくらいしか思いつきません。

漫画大好き産婦人科医で良かったと思います。


まとめ

いつもと毛色の違う記事でしたが、いかがでしたか。

私の場合、「医者になるぞ!」という強い決意があったわけではなく、
小学生が考える「将来は20歳くらいで結婚するんだろうなー」と同じくらいの気持ちで
「将来は医者だろうなー」というイメージが幼少期からあり、
その理由が後から付け加えられたという経緯です。

産婦人科医を選んだきっかけも、
「新しい生命の誕生に携われる!素晴らしい!」といった高尚な理由や、
「女性のライフスタイル全てに携われる!食いっぱぐれなさそうだ」といった現実を見据えた理由でもなく、
「あ、これだ」という直感に基づいた判断です。

つまり、悩みに悩み抜いて決めた仕事、というわけでは全くないのです。

もしかすると医師の中では珍しい方なのかもしれませんが、
「こんなパターンもあるのか」ということで、志望科を決めかねている研修医や医学生、医者志望の方々の参考になりましたら幸いです。

ここまでお読み頂き、ありがとうございました!
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