こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
本日の記事は『やっきーの好きな漫画ベスト100』です。
この「好きな漫画を100作挙げる」という企画は2015年頃、しっきーのブログ様が考案された手法で、以降1~2年ほど漫画ブログ界隈でこの企画が大流行しました。
2016年にはブログあしみの様が7つのランキングを集計したランキングを作るなど、メタアナリシス的な手法が用いられたほどです。
大抵こういった何かをお勧めするランキングというとトップ10やベスト20といった数字が主流ですが、
我々のような漫画好きからすると10や20などは生ぬるいにも程がある数字で、100作くらい挙げなければ漫画が好きで好きでどうしようもない気持ちを表現しきれないのです。
というわけで本日はやっきーの趣味全開の記事をお届けします。
「何か面白い漫画を読みたい」とお探しの方は是非、ご参考として頂ければ幸いです。
ランキングのルール
上記のしっきーのブログ様では、ランキング作成に当たって以下の4つのルールが設定されていました。
・ 「完結済」、「連載中」の区別はしない。
・ 同じ作家の作品をランキングに入れない。
・ 漫画の神様的な位置づけの人達はランキングから除外する。
・ 客観的な評価基準があるわけでなく僕の主観でなんとなく順位をつける。
ここで言う「漫画の神様的な位置づけの人達」として、
具体的には手塚治虫先生、石ノ森章太郎先生、横山光輝先生、赤塚不二夫先生、さいとうたかを先生、水木しげる先生、松本零士先生、楳図かずお先生、藤子不二雄先生、長谷川町子先生、さくらももこ先生、ちばてつや先生、永井豪先生が挙げられています。
漫画ブロガーとして、このルールを設定した意図は大いに理解できるのですが、
本ランキングにおいては以下のようにルールを変更させて頂きます。
・ 「完結済」、「連載中」の区別はしない。
・ 同じ作家の作品は2作までとする。
・ 全ての作家が対象。
・ 客観的な評価基準は無し。2023年6月現在の私の好みで順位を付ける。
それでは早速、ランキングを見ていきましょう!
第100位~第91位
第100位『PSYCHO+』藤崎竜…全2巻(文庫版1巻)
ランキングの1発目の作品は、藤崎竜先生の『PSYCHO+』です。
『封神演義』で有名なフジリュー先生ですが、個人的には『PSYCHO+』が最高傑作だと思っています。
生まれつき髪と目が緑色の少年・主人公の緑丸は、中古ゲームショップであるゲームを目に留めます。
謎のゲーム「PSYCHO+」は、緑丸にしか扱えない「超能力を目覚めさせるためのゲーム」でした。
やがて緑丸は自分自身の秘密と使命を知ることになります。
本作は全2巻で打ち切られたものの、フジリュー先生の世界観が素晴らしく表現されており、
世界の真実が明かされていく様子はスリリングですし、物語の終わり方も非常に美しい名作です。
第99位『行け!稲中卓球部』古谷実…全13巻(文庫版8巻)
「最高のギャグ漫画」として、しばしば名前が挙がる名作。
2023年5月4日放送のテレビ番組『アメトーーク!』の企画「ギャグ漫画サミット」でも、プレゼンターの芸人さんたち全員が『稲中卓球部』の名前を挙げていましたね。
多彩かつ濃すぎるキャラクター造形に、予想不可能なギャグの数々。
卓球部を舞台とした漫画でありながらロクに卓球をしない、アホによるアホな日常を楽しむための漫画です。
ド級の下ネタや1990年代当時の時事ネタがふんだんに盛り込まれているにも関わらず、未だに色褪せないギャグ描写はまさに天才の所業です。
その後、作者の古谷実先生は『僕といっしょ』『グリーンヒル』まではギリギリ『稲中卓球部』のギャグテイストを残していたものの、
『ヒミズ』以降は作風を大幅に一変させてサイコスリラー作家としての才覚を表すことになるわけですが、
そちらの方面でも実写化や舞台化などを成功させているあたりは流石ですね。
第98位『ヒナまつり』大武政夫…全19巻
超能力+任侠+ギャグ漫画という新しすぎるジャンルの漫画。
若手インテリヤクザ・新田義史のもとに、超能力少女のヒナが突然現れました。
新田は持ち前のお節介焼きと家事スキルによってヒナの世話をし、
ヒナは強力な超能力をこれといって使うことなく怠惰な生活を送ることになりますが、いざという時は超能力で新田の手助けをするなど、
奇妙な父娘関係が繰り広げられるハートフルギャグ漫画です。
「ヤクザ」「超能力者」の2人が主人公とは思えないほどユルユルかつグダグダの日常、
脇を固めるキャラクター達(おもに瞳さん)のキャラの強さ、
そして師匠・猿渡哲也先生譲りの画力による迫力あるギャグ描写が展開されるため、
『ヒナまつり』でしか味わえない独特の世界観を楽しめます。
第97位『BUNGO -ブンゴ-』二宮裕次…既刊35巻
アマチュア野球を題材とした漫画としてはかなり珍しい、
「甲子園を目指す高校球児」の物語ではなく、
「甲子園に行ける高校を目指すための、シニアリーグの中学生」の物語です。
凝り性の少年・石浜文吾は、父とのキャッチボールをきっかけにボールを投げる楽しさを知りますが、
地元に野球チームが無かったため仕方なく自宅での壁当てに勤しんでいました。
壁当てを3年も続けたことで高い球威を会得した文吾でしたが、成り行きで同い年の天才打者・野田幸雄と対決することになり、ホームランを浴びて敗れてしまいます。
そんな2人は名門チーム「静央シニア」に入団し、次第に野田は文吾の才能を見出します。
甲子園を目指すための前段階としてシニアリーグで奮闘する選手たちのリアルな心情、
シニアリーグ特有の連投制限などによる選手のやりくりやチーム運営の事情など、
「中学野球」という題材をとことん突き詰めた細やかな描写は他に類を見ない逸品です。
今、最も勢いのある野球漫画のひとつと言えるでしょう。
第96位『BLUE GIANT』石塚真一…既刊29巻
これといった特技も夢も持たない男子高校生・宮本大は、初めて訪れたライブハウスでジャズの演奏を目の当たりにして以来ジャズの虜になってしまいました。
『BLUE GIANT』は、そんな男が世界一のジャズプレーヤーになる過程を描いた物語です。
舞台は仙台、東京、ドイツ、アメリカと次々に変わっていきますが、
どこでどんな壁にぶち当たろうとも、ひたすら真っすぐに解決していく主人公の姿は爽快です。
まるで音が聴こえてくるかのような石塚先生の漫画力も素晴らしいですね。
第95位『憂国のモリアーティ』原案・コナンドイル、構成・竹内良輔、漫画・三好輝…既刊19巻
言わずと知れたコナン・ドイルの歴史的大ヒット小説『シャーロック・ホームズ』シリーズ(日本ではバーローの方が有名になってしまいましたが)における、
ホームズの宿敵であるモリアーティ教授を主役に据えた物語です。
原作の『シャーロック・ホームズ』シリーズにおけるモリアーティ教授は物語を適当に終わらせるために急遽設定されたラスボスとして有名で、それまでこれといった伏線も無く、
「実はロンドンの犯罪の半分はモリアーティ教授によるものだったんだよ!」
ΩΩΩ<な、なんだってー!?
という登場を果たした後付けを超えた後付けの産物なわけですが、
この『憂国のモリアーティ』では「闇で暗躍していた理由」「犯罪行為の目的」といった裏付けを丁寧に描き切っているため、非常に読み応えのある良作です。
あとはなぜか登場人物が全員美男美女です。
第一部は19巻で完結となっていますが、2023年3月より続編が連載再開となりました。
こちらも非常に楽しみですね。
第94位『MONSTER』浦沢直樹…全18巻(完全版9巻)
浦沢直樹先生の代表作にして、サスペンス作家としての彼の名前を大きく上げた作品。
殺人事件の濡れ衣を着せられてしまった日本人脳外科医・Dr.テンマが、かつての患者にして殺人事件の真犯人であるヨハン・リーベルトを追跡する物語です。
ベルリンの壁崩壊以降のドイツという舞台背景が素晴らしく活きていますし、
ルンゲ警部やグリマーさんといった脇を固めるキャラクターの魅力も素晴らしいですね。
浦沢直樹先生の作品はいずれも面白いのですが、『YAWARA!』『Happy!』ほどシンプルすぎず、『20世紀少年』ほどとっ散らかってもいない、ということで個人的には『MONSTER』が丁度良い塩梅です。
また、浦沢直樹先生は長らく電子書籍化に消極的な立場をとっていましたが、2018年より解禁され読みやすくなったのも嬉しいポイントですね。
第93位『赤ずきんチャチャ』彩花みん…全13巻
1990年代の「りぼん」を代表する作品のひとつ。
赤いずきんがトレードマークの魔法使いの見習い少女・チャチャを主人公として、
チャチャの師匠で世界一の魔法使い・セラヴィーや、幼馴染の狼男・リーヤ、
魔女のどろしー、どろしーの弟子のしいねちゃんらと共に繰り広げるドタバタ学園ギャグ漫画です。
姉が読んでいたので私も好きになったという、一言で言えば思い出補正全開の作品なわけですが、
それを差し引いても男性にも読みやすい、面白い少女漫画のひとつとして自信をもってお勧めできます。
アニメ版は元SMAPの香取慎吾さんがリーヤの声を当てていたり、どっからどう見てもセーラームーンをパクった意識した全く原作にない要素を追加していたりと、
少年時代のやっきーから見ても凄まじい違和感を覚える中々カオスな作品でした。
第92位『僕とロボコ』宮崎周平…既刊13巻
2023年現在の週刊少年ジャンプを代表するギャグ漫画ですね。
主人公・平凡人の元にやってきたオーダーメイド(超高性能メイド型ロボット)のロボコを中心に繰り広げられるギャグコメディです。
他作品のパロディが頻用され、漫画好きほどニヤリとできる細かな描写の数々は枚挙に暇がありません。
しかし、それ以上にこの作品を唯一無二たらしめているのが善良なキャラクター達です。
この手の学園ギャグ漫画にありがちな理不尽な暴力や失敗を嘲笑するような展開とは完全に無縁で、
それどころか主人公達の友情は作品に清涼感を与えながらギャグとしても成立しているという見事なバランス感覚。
「万人にお勧めできるギャグ漫画」というのは意外と少ないのですが、『僕とロボコ』はそんな数少ない作品のひとつと言えるでしょう。
第91位『マテリアル・パズル』土塚理弘…既刊32巻
漫画界随一の多作家である土塚理弘先生による、王道を行く少年漫画。
選ばれた一部の人間だけが持つ特殊能力、魔法(マテリアル・パズル)を駆使して野望を叶える「女神」と、
過去に犯した罪の代償として不老不死になった3人の魔法使いによる長編ファンタジーです。
土塚作品らしい張り巡らされた伏線の数々、軽妙な掛け合い、
そして絶妙なところで読者の予想を裏切る展開の数々はまさに土塚理弘先生の真骨頂。
2023年7月現在では第0章(ゼロクロイツ)・第1章・第2章・第4章が終了しており、今後の展開が期待されます。
第90位~第81位
第90位『ぐらんぶる』原作・井上堅二、作画・吉岡公威…既刊20巻
カナヅチの大学1年生・北原伊織と、血の繋がりのない従姉妹・古手川千紗をヒロインとした、
スキューバダイビングの素晴らしさを伝えるための漫画。
…の皮を被った、アホな男子大学生たちによる酒と全裸(男)の物語。
『バカとテストと召喚獣』でラノベ界を席巻した井上堅二先生が原作を務めるだけあって、
「ただひたすらに笑える漫画」という点でもお勧めですが、ラブコメとしてもなかなかに良質。
吉岡公威先生が描く女の子の可愛さと無駄に屈強な男達の全裸も見どころです。
第89位『SE』此ノ木よしる…全4巻
ちょっと変わった女の子…もとい、ド変態の女の子をヒロインにしたラブコメに定評のある人気女性作家・此ノ木よしる先生の代表作のひとつ。
現役女子高生の天才プログラマー・高島百香が、ある凄まじい発明を実現させる物語です。
『変女』『こみっく☆すたじお』も良いですし、その前のあきら様の同人描いてた頃も大好きなのですが、
ヒロインの恥じらい具合や全4巻というほどよい長さがディ・モールトよしッ!
此ノ木よしる先生の公式サイトで第1話を無料で読めますので、気になった方はこちらからどうぞ。
第88位『BLOODY MONDAY』原作・龍門諒、作画・恵広史…全23巻
天才高校生ハッカー・ファルコンこと高木藤丸を主人公とした漫画です。
一介の高校生が国家存亡の危機に立ち向かうという、これでもかと言うほど分かりやすく中2的な展開に振り切ったエンタメ作品で、
さすがキバヤシ先生と言える良質なエンターテインメントに仕上がっています。
ちなみに『BLOODY MONDAY』は過去に医学考察記事を書いていますので、気になる方はこちらもチェックしてみて下さい。
『BLOODY MONDAY』高木竜之介を救う方法はあるのか?
第87位『ピアノのムシ』荒川三喜夫…全13巻
世にも珍しいピアノ調律師を主人公とした漫画。
主人公の蛭田敦士は、完全な人格破綻者ながらピアノ調律師としては紛れもなく天才です。
客との揉め事も日常茶飯事ですが、その代わり彼が調律したピアノは超一級品に仕上がります。
彼がピアノにまつわる様々なトラブルを解決させていく姿は爽快で、趣味でピアノを弾いている人間としてはピアノの構造の勉強にもなって非常に面白いですね。
加えて業界の暗い部分にガンガン踏み込んでいるのも秀逸で、
日本で一番有名なあのピアノメーカーは「アマギ」、世界一有名なあの高級ピアノメーカーは「エメリッヒ」という名前に置き換えられているため、
アマギやエメリッヒの社員たちがどんな悪どいことをしてても大丈夫です。セーフです。
第86位『テニスの王子様』許斐剛…全42巻
テニス漫画の皮を被った何か。
一人でダブルスをしたり光の速さで移動したり対戦相手の五感を奪ったりJASRAC申請中だったり、とにかくネタ的な意味で伝説となった漫画で、
今ではミュージカル原作としての立ち位置を完全に確立した作品ですが、
その実、スポ根漫画としての王道を真っすぐ突き進んだ名作でもあります。
スポーツ漫画としてかなり熱い展開も多く、
ジャンプで一時代を築いた実績は伊達ではありません。
続編の『新テニスの王子様』もあれはあれで良いのですが、
全42巻とは思えないほどに軽快に読み進められ、それでいて能力スポーツ漫画としてのエッセンスが凝縮された無印版の方が個人的には好きです。
第85位『島耕作シリーズ』弘兼憲史…既刊107巻
この企画で紹介した漫画の中で「オッサンしか読んでない漫画ランキング」をつけるとするなら堂々の一位に輝くであろう逸品。
人並み以上に仕事はできるが、それを遥かに凌駕する下半身と運の良さ(特に異性運)で出世街道をひた走る日本一有名なサラリーマン・島耕作の物語です。
「どうせ島耕作が出世したり女性と寝まくる漫画だろ?」とお思いの方も多いと思います。
まあそれは全くもって否定できないのですが、もし島耕作が出世と女性だけの中身スカスカ漫画なら本編107巻+スピンオフ4作品も作られません。
島耕作の魅力、それはサラリーマンの物語とは思えないほど衝撃的な展開の数々、
そしてベテラン・弘兼憲史先生ならではのキャラクター造形の魅力にあります。
とにかく読めば分かる、それに尽きますね。
当ブログでも過去に2回解説しています。
第84位『サユリ』押切蓮介…全2巻(完全版1巻)
個人的にあまりホラー漫画を積極的に読む方ではなく、読んだとしてもあまり読み返すことはないのですが、そんなホラー漫画から唯一のランクイン。
この『サユリ』だけは別格です。
いかに凶悪な怨霊であろうとも、生きている人間こそが最も強いという、
「霊」に対してかつてないアプローチを見せる本作はホラー漫画に新たな風を巻き起こしました。
こんなにも生命力に満ち溢れたホラー漫画は他に類を見ません。(霊に対する解決策という意味では同じ作者の『でろでろ』『ゆうやみ特攻隊』にも共通していますが、テイストは大きく違います)
「読み終わると元気が湧いてくるホラー漫画」はなかなかレアです。
完全版は1巻完結で読みやすいのでお勧めですね。(電子書籍は2巻完結です)
第83位『Q.E.D. 証明終了』加藤元浩…既刊74巻
推理漫画の最高峰。
15歳でマサチューセッツ工科大学(MIT)の数学科を主席卒業した天才少年・燈馬想が、同級生の女子高生・水原可奈と共に様々な事件を解決します。
推理ものの漫画となると『名探偵コナン』『金田一少年の事件簿』に知名度で劣りはするものの、事件解決のための論理的思考は他の追随を許しません。
殺人事件の解決もしばしば行われますが、殺人が絡まない日常のハプニングを解決する(剣道場の窓ガラスを割った犯人を捜す、部室のケーキを盗み食いした犯人を捜すなど)という推理ものとしては異色の話もしばしば行われ、日常から離れすぎないバランス感覚も最高です。
「オイラーの公式」「デデキントの切断」「ポアンカレ予想」といった数学にまつわる事件・出来事もしばしば取り扱われるので、理系好きにはたまらないポイント。(勿論、これらが理解できなくても楽しめます)
第82位『ハチミツとクローバー』羽海野チカ…全10巻
羽海野チカ先生の商業デビュー作にして、彼女の才能を世間に知らしめた作品です。
主人公の美大生・竹本祐太が、大学の先輩である森田忍や同級生の花本はぐみらと共に美大生活を送る物語で、
青春群像劇の最高峰と言っても過言ではありません。
美術に関して飛び抜けた才能を持つが人生に関して不器用な森田・はぐみ、
小器用だが彼らと比較して劣等感を抱いてしまう竹本、そして彼らを取り巻く人々の心の動きが秀逸に描かれます。
個人的に好きなのは森田と山田の何とも言えない関係性。彼らの間に恋愛感情は存在しませんが、単なる友情を超えた何かがそこにはあります。エモい…エモくない?
第81位『ワールドエンブリオ』森山大輔…全13巻
現代日本を舞台としたSFアクション漫画。
主人公・天海陸の前に「棺守」と呼ばれる怪物が突然現れ、謎のマユを拾ったと同時に窮地を脱したことから物語が始まります。
「棺守」「刃旗」「柩姫」とは何なのか、マユから生まれた少女・ネーネの正体とは?
2年前に疾走した片思いの相手・天音との関係性は?謎の大量殺人犯・タカオの目的は?
謎が謎を呼ぶ展開ながら、徐々に明かされていく登場人物達の思惑は予想もつかない終着点に向かいます。
かなりコッテリした中2テイストを味わえますし、一度読めば壮大かつ細部まで作り込まれた世界観に惹き込まれること間違いなしです。
骨太のSFを楽しみたい方には是非お勧めしたい作品ですね。
第80位~第71位
第80位『ちはやふる』末次由紀…全50巻
競技かるたを題材とした名作青春スポーツ漫画。
かるたを人生の全てとしている美少女・綾瀬千早がクイーン=かるた世界一を目指すための戦いが描かれます。
高2~高3あたりの一時期がちょっと間延びしている感は否めないものの、
「競技かるた」という題材でここまで熱い戦いが描かれる漫画は他に類を見ません。
2022年9月に14年間・50巻にわたる連載に幕を閉じましたし、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。
第79位『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』ぽんとごたんだ…既刊15巻
雑食系グルメコメディという分野を開拓した一作。
学年有数の美少女である桐谷翔子は飽くなき食欲と探求欲を兼ね備え、珍食材を食いまくります。
サソリやカエル・ヘビといった食材は朝飯前で、
カブトムシ、アゲハチョウ、カラス、ダチョウの卵、
さらには土、イノシシのキ〇タマ、日本に輸入できないフルーツ、Gが分泌するミルクなど、その発展性は留まるところを知りません。
過去に紹介記事を書いていますので、よろしければこちらもどうぞ。
【お勧め漫画紹介】雑食レビューマンガ『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』『アタマの中のアレを食べたい』
第78位『ふたりエッチ』克・亜樹…既刊90巻
私のトラウマ。以上。
好きな漫画ではあるのですが、ブログを書くため以外の目的で読むのは当分勘弁して下さい。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
長年の疑問に終止符!『ふたりエッチ』優良さんは不妊症なのか?
第77位『うしろの正面カムイさん』原作・えろき、作画・コノシロしんこ…既刊6巻
何も深く考える必要のない、ただ笑える漫画としては今最もアツい作品のひとつ。
霊感がきわめて強い女子高生・耳塚シヅカは、有名なイケメン霊媒師のカムイさんに「悪霊をおびき寄せるための囮」として雇われています。
その肝心の除霊方法はまさかの霊に対する性行為。
カムイさんは霊や妖怪などの怪異にしか欲情しない変態のため、除霊は趣味と実益を兼ねています。
除霊対象は「メリーさん」「トイレの花子さん」「化け猫」といった日本固有のものから「サキュバス」「クトゥルフ」といった海外の怪異まで多岐にわたり、
それらをいかにして攻略していくか(意味深)が話のキモになります。
それはそれとして、きわどい描写や攻めたパロディを躊躇しない本作は、
ホラーエロコメディという一見意味不明なジャンルに新たな碑を打ち立てた秀作と言えるでしょう。
第76位『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦…既刊131巻
言わずと知れた、少年漫画界にそびえ立つ大河作品。
由緒ある英国貴族の一人息子、ジョナサン・ジョースターと、彼の友人であり邪悪な吸血鬼となってしまったディオ・ブランドーとの戦いに端を発する長きにわたる因縁と戦いが描かれた物語です。
少年漫画でありながら何世代にもわたる主人公の世代交代が行われている他、
超能力の描写を人型で表現する「スタンド」という概念が打ち出されるなど、
王道を行きながらも常に実験的な作風は唯一無二で、いつ読んでも新鮮に楽しめるのは素晴らしいですね。
人気のあるキャラクターも容赦なく死亡していく展開のスリリングさも魅力的で、
思わずあーん!ブチャ様が死んだ!と叫びたくなってしまうこともしばしば。
第75位『打姫オバカミーコ』片山まさゆき…全15巻
麻雀漫画界の重鎮・片山まさゆき先生による最高傑作。
物語のヒロインである丘葉未唯子は、駆け出しの女流プロ雀士でありながら技術は壊滅的で、「オバカミーコ」とあだ名されていました。
そんな丘葉が師事することにしたのは、元トッププロでありながらその地位を奪われてしまった波溜晴。
波溜プロの指導は徹底して理論的かつ実践的で、麻雀好きとしては非常に勉強になる上、
素直で明るいミーコに後押しをされて麻雀の世界で再起をはかる波溜プロの物語も最高です。
片山まさゆき作品としては鉄板の『ぎゅわんぶらあ自己中心派』も面白いですし、
『ノーマーク爆牌党』や『牌賊!オカルティ』あたりも大好きなのですが、
そんな中でもやはり「初心者とトッププロが共に麻雀界を駆け上がる」という『オバカミーコ』の構成は秀逸ですね。
第74位『ザ・ドラえもんズ スペシャル』シナリオ・宮崎まさる、作画・三谷幸広…全12巻
伝説のキャラクター「ザ・ドラえもんズ」を主役とした名作です。
いわゆる田中道明版も素晴らしいのですが、ドラえもんズの漫画と言えば何といってもドラスペでしょう。
小学生の学年誌で連載されていた作品のため、内容はわりと子供向けではありますが、
SF的要素が絡んだ壮大なストーリー、そしてキャラクターの魅力は今でも色褪せることはありません。
残念な点としては絶版となって久しく、入手難易度が高いこと。
詳しくはドラえもんズについて紹介・考察した過去記事もご覧ください。
なぜ「ザ・ドラえもんズ」は黒歴史になったのか?【絶版漫画紹介】
第73位『テラモリ』iko…全10巻
名作ファッションラブコメ漫画。
主人公の女子大生・高宮陽は、高い給料だけを目当てに紳士服店「テーラー森」でアルバイトをすることになります。
根っからのオタクで紳士服に疎いどころか洋服屋にすら一人で行けない高宮ですが、
若くて優秀な代わりに教育はスパルタな副店長・平尾宗隆らの指導の下、徐々にアパレル店員としての才覚を花開かせていきます。
ちなみに私(やっきー)は社会が許してくれるなら一生ジャージでいいという人間なので基本的にファッション漫画に興味が無いのですが、
『テラモリ』においてファッションは話のスパイス程度でしかなく、高宮の日常や恋愛模様がより深くクローズアップされるため、私のような人間にも楽しく読めます。
それでいて「紳士服」という社会的にきちんと着こなせるに越したことはないものを分かりやすく解説してくれているので、実用性も十分です。
私の社会性の無さはともかく、男女を問わず広くお勧めできる良作ですね。
ちなみに本編よりも甘味が強めな『テラモリ アンコール』も良きです。
第72位『火消し屋小町』逢坂みえこ…全4巻
異色とも言える女性消防官を題材とした漫画。(他にも無いことはないですが)
短大卒の21歳・南夏子は入社予定だった会社が倒産してしまい、半ば冗談で受けた消防官の採用試験に合格。
そんな調子で何の思い入れも理想もなしに消防官になったのですが、
やがて消防の仕事にやりがいを見つけ、のめり込んでいきます。
全4巻と非常に読みやすく、1巻では消防学校での訓練の様子が、2~4巻では消防士となった南の仕事の様子が描かれます。
時には大きな現場で命をかけ、時には余りにもしょうもない要請に応える消防官たちの日常がシリアスかつコミカルに展開されていきます。
これぞ「隠れた名作」と呼ぶに相応しいでしょう。
第71位『めぞん一刻』高橋留美子…全15巻(文庫版10巻)
言わずと知れたラブコメの金字塔。
それまで少年漫画界で確固たる地位を築きつつあった高橋留美子先生が、その才能を完全に開花させた作品でもあります。
古い木造アパート「一刻館」に住む主人公・五代裕作のもとに、アパートの住み込み管理人としてやってきたのが音無響子。
可憐な美女である響子に五代は恋をしますが、彼女は夫を一年前に亡くしたばかりでした。
未だ気持ちの整理がつけられない響子、一途に響子への想いを募らせる五代、そんな二人を取り巻く個性豊かすぎる住人たちの物語は連載終了から35年以上経った今なお色褪せません。
ラブコメというジャンルにおいて「ラブ」と「コメディ」の両方がこれほど高いレベルで共存した作品は他にないでしょう。
第70位~第61位
第70位『1年1組甲斐せんせい』一丸…全8巻
ヒューマンドラマに定評のあるベテラン漫画家・一丸先生の最高傑作。
地元では悪ガキで有名だった小学校教師・甲斐修平が、小学校1年生の担任を受け持つことから始まる物語です。
小学校1年生の担任ということで、独特な教育の難しさ、保護者との向き合い方が描かれるわけですが、
親しみやすく情に厚い甲斐先生が真剣に子供たちに向き合う姿はまさに小学校教師の理想と言っても良いかもしれません。
16人もいる児童たち全員のキャラクターがしっかり立っているのも秀逸。
小学生以下の子どもを持つ親御さんには特に読んで頂きたい名作です。
第69位『ドラえもん』藤子・F・不二雄…全45巻
『ドラえもん』の説明が今さら必要だろうか???と思いますが、
あえてメチャクチャ丁寧に『ドラえもん』のあらすじを解説してみましょう。
勉強もスポーツも苦手な小学生・野比のび太のもとに、突然謎の少年とロボットが現れます。
セワシと名乗る謎の少年は何と、のび太の孫の孫(玄孫)だと語ります。
そしてロボットの名前はドラえもん。22世紀の未来からやってきたネコ型ロボットでした。
ドラえもんはポケットの中から「ひみつ道具」を取り出し、操ることができます。
ひみつ道具は多種多様で、ドアを開けるだけで離れた場所に移動することができる「どこでもドア」や、時空間を移動する「タイムマシン」、宙に浮いて移動することができる「タケコプター」などがあり、
これらを用いてのび太の未来を良い方向に導くのが『ドラえもん』の核となるストーリーです。
基本的には一話完結ですが、連続ストーリーを描いた『大長編』も名作揃いです。
あえて個人的ベスト3を挙げるとするならば『鉄人兵団』『魔界大冒険』『海底鬼岩城』あたりになります。
第68位『4ジゲン』にざかな…全6巻
少女漫画界最高のギャグ漫画。
定時制高校の「青葉高等学校」を舞台として、クセのありすぎる教師や生徒たちが繰り広げるシュールな学校生活が描かれます。
「にざかな」という適当なペンネームは原作・一條マサヒデ先生、作画・まさやようこ先生の合同ペンネームで、
一條マサヒデ先生は少女漫画に限らず少年誌・青年誌など多様な場でギャグ漫画の原作を書いています。
そんな「少女漫画らしくない原作」に、「いかにも少女漫画らしい作画」が加わるミスマッチさが面白さを引き立てます。
にざかな先生の前作『B.B.JOKER』も死ぬほど面白いのでお勧め。
第67位『殴るぞ』吉田戦車…全11巻
不条理4コマギャグ漫画の最高峰。
『伝染るんです。』で不条理ギャグというジャンルを確立した吉田戦車先生の最長連載作品です。
吉田戦車先生が誰か分からないお母さん世代の方々には、『おかあさんといっしょ』の「からだダンダン」の作詞者だと言えば伝わりやすいかも。
何と言うか、この漫画の面白さを文章で伝えるのは無粋でしかありません。
とりあえず読んでみて下さい。ハマる人はとことんハマるタイプの漫画だと思います。私はドンピシャでハマりました。
ちなみに単行本の表紙の素材にはなぜかウールが25%配合されているほか、謎のイボイボした滑り止めがついているため、人生においてこの単行本の表紙でしか味わえない手触りが楽しめます。
「この材質を単行本の表紙にしよう」と言い出した人間は控えめに言ってどうかしているとしか思えませんが『殴るぞ』なら納得です。
第66位『麻酔科医ハナ』なかお白亜…既刊6巻
麻酔科医を題材とした医療漫画です。
患者さんとコミュニケーションをとる機会こそ少ないものの、患者さんの命を最も支えていると言っても過言ではない麻酔科医。
この漫画では、そんな麻酔科医の日常がシリアスかつコミカルに紹介されています。
高名な麻酔科の先生が監修しているため、麻酔や手術の描写は現役産婦人科医の私から見ても実にリアルです。(2023年現在だと少し古くなってしまった内容もありますが)
最大の欠点は『HUNTER×HUNTER』が可愛く見えるレベルで休載しまくっていること。
なお『麻酔科医ハナ』に登場する帝王切開の麻酔に関して過去に紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。
第65位『コウノドリ』鈴ノ木ユウ…全32巻+番外編1巻
ドラマでめちゃくちゃ有名になった、産婦人科医を題材とした医療漫画です。
産婦人科医師でありジャズピアニストでもある鴻鳥サクラを主人公として、彼の患者である妊婦さんやその家族を中心としたストーリーが描かれます。
鈴ノ木ユウ先生の徹底した取材に基づくリアルすぎる産婦人科の日常は、
同じ産婦人科医の立場からすると読んでると仕事してる気になるのでぶっちゃけあんまり読みたくないのですが、
それを差し引いてもやはり面白いですし、医療漫画としての完成度は随一です。
たぶん私が産婦人科医じゃなければもう少し上の順位に上げてる気がする。
難しい医学用語の説明も分かりやすく噛み砕いて解説されていて勉強になりますし、
私としては妊婦さん以上に旦那さんに読んで欲しい漫画ナンバーワン。
当ブログは漫画オタクの産婦人科医のブログなので、しばしば題材として取り上げています。
というかブログの立ち上げ前は『コウノドリ』の解説ブログにしようかと思っていたくらいです。
【医学の話】『コウノドリ』より 子宮頸がんとHPVワクチンについて考える
第64位『おおきく振りかぶって』ひぐちアサ…既刊36巻
高校野球漫画に革命を起こした作品。
10人しかいない新設の硬式野球部が甲子園を目指すという王道のストーリーを土台としつつ、
スポ根要素を排除し、戦術理論やスポーツ医学に基づいた「野球に勝つための現実的な方法」を実践する漫画です。
主人公の三橋廉は「弱気で卑屈で自信がない性格」「球速が遅いがコントロールとスタミナに強みがある」という野球漫画の主人公ピッチャーとして類を見ないタイプです。
そんな彼とともに甲子園優勝を目指すのが、高い捕手能力を持つ阿部隆也、全国区の野球センスと身体能力を兼ね備える田島悠一郎、長打力に長けるキャプテン・花井梓、異例の女性監督・百枝まりあら、これまた個性豊かなメンバー達。
配球の駆け引き、心理戦や戦術の細やかさ、そしてキャラクター全員に実在のモデルがいるんじゃないかと思えるほど徹底的なキャラクター設定が物語に奥行きを生みます。
欠点は、それらの描写が細かすぎて展開がめっっっちゃくちゃ遅いこと。
連載開始から20年経ってようやく作中で1年が経過しました。
ちなみに作者のひぐちアサ先生は2023年6月現在で53歳。
大丈夫だよね???
第63位『グラップラー刃牙』板垣恵介…全42巻+番外編1巻
ほう グラップラー刃牙ですか…
たいしたものですね
板垣恵介先生『グラップラー刃牙』は格闘漫画としての完成度がきわめて高いらしく
当直中にうっかり読み始めて寝不足になる産婦人科医もいるくらいです
第62位『創生のタイガ』森恒二…既刊11巻
サバイバル漫画の究極形。
オーストラリアへ卒業旅行に来ていた7人の大学生が突然タイムスリップに巻き込まれ、原始時代でのサバイバル生活を余儀なくされました。
そんな中で彼らはホモ・サピエンスとネアンデルタール人との争いに巻き込まれ、のちに人類となるホモ・サピエンスに協力し生き残りを賭けた戦いへと身を投じていくこととなります。
どちらかと言うと気弱な主人公を軸にして「人生」「生命」について深く描写することが多い森恒二先生ですが、
『創世のタイガ』の主人公・タイガは森恒二作品の中ではけっこう好戦的な方です。
2023年6月現在、掲載誌のイブニング休刊に伴ってヤングアニマルに籍を移したことで権利関係がややこしいことになっていましたが、ついに白泉社のレーベルで出版されることが決定したようです。
第61位『ハイスコアガール』押切蓮介…全10巻
格闘ゲームラブコメの大傑作。
1990年代の格ゲーブームを背景として、ゲームに人生を捧げる少年・矢口春雄と、
何でもできる優等生だが家庭の窮屈な教育方針のためにゲームだけが癒しとなっているヒロイン・大野晶との因縁が描かれます。
ヒロインの大野はゲームの天才でもあり、主人公・ハルオは大野に対して羨望とも友情ともとれる感情を抱き始めます。
そんな2人の関係性は本当に素晴らしいです。
私もこんな小学生時代を送ってみたかった。
特に1巻の完成度は尋常ではありません。
ラブコメに飢えた人は『ハイスコアガール』の1巻を読みましょう。
第60位~第51位
第60位『黒執事』枢やな…既刊32巻
19世紀末期のイギリスを舞台とした執事漫画です。
主人公は弱冠12歳にして伯爵位を継いだ貴族、シエル・ファントムハイヴ。
そんなシエルを支える完璧執事がセバスチャン・ミカエリスです。
この漫画の魅力は次々に変わっていく題材にあります。
時にはミステリーになり、ある時はサスペンスになり、グルメ漫画になり、学園コメディになり、伝奇になり…
と、あらゆるジャンルを高いレベルで描写しきる漫画力は圧巻の一言です。
最近ちょっと物語の着地点を見失いつつあることと、
何を血迷ったか巻数表記をローマ数字(8⇒VIII、29⇒XXIXなど)にしているためにどれが何巻なのか死ぬほど分かりづらいことを除けば素晴らしい良作です。
ちなみに作者の枢やな先生は単行本の背表紙にアラビア数字を書いたシールを張り付けて管理している模様。
今からでもいいから巻数表記をアラビア数字にしてくれないかなあ。
第59位『ケンガンアシュラ』原作:サンドロビッチ・ヤバ子、作画:だろめおん…全27巻
「拳願仕合」と呼ばれる格闘技による企業間代理戦争を描いた作品です。
WEB漫画を代表する作品のひとつであり、『テラモリ』『モブサイコ100』らと共に初期の裏サンデーを牽引した名作。
原作者・編集者ともに格闘技経験者であるために格闘描写には奥行きが生まれ、
途中から飛躍的に向上しただろめおん先生の画力が作品の質を一層高めます。
続編で現在連載中の『ケンガンオメガ』も非常に面白いので、『ケンガンアシュラ』を読んだ流れでそのまま読んで頂きたいですね。
ちなみにこの作品に出てくる英先生に関して考察した記事がありますので、よろしければこちらもどうぞ。
第58位『3年B組一八先生』錦ソクラ
ある意味で一番好きな漫画かもしれない。
金八先生にそっくりな中学教師・一八先生が麻雀であらゆるキャラクターを打破していく作品です。
この作品とパロディは切っても切り離せない関係で、あまりのパロディの攻め具合により大人の事情で作品が打ち切られて伝説となりました。
たぶん『一八先生』について解説したサイトとしてはうちのブログが世界一詳しいと思います。
第57位『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』うすた京介…全7巻(完全版5巻)
漫画の歴史を変えたギャグ漫画。
県立わかめ高校に転校してきた高校生・フーミンこと藤山起目粒はクラスメイトの花中島マサルに絡まれます。
マサルはその圧倒的な奇行ぶりで変態扱いされていますが、謎の格闘技・セクシーコマンドーを修める格闘家でもありました。
フーミンはマサルと出会い、なし崩し的にセクシーコマンドー部の設立に関与させられることになります。
吉田戦車先生らが確立した不条理ギャグ漫画を一大ジャンルとして決定付けた作品。
少年漫画界において、ギャグ漫画を「マサル以前」「マサル以後」に分けてしまったとすら言われました。
連載中も凄まじい人気を誇った本作ですが、人気絶頂の中で突然連載が終了しました。
のちに作者・うすた京介先生が語ったところによると、週刊連載のペースについていけなかったこと、予想を超える人気ぶりからくるプレッシャーに筆が追い付かなくなったことによるものだそうです。
私はてっきり めそ…
あ…いや…ゲフン!
第56位『ひとりあそび』『ひとりぷれい』『ひとり*遊戯』火鳥…全3巻
ギャグ漫画の神様のアナルから生まれた天才・火鳥先生の短編集。
…だったのですが1作目『ひとりあそび』の後半から、
毎回のように尋常ではない物体を挿入して肛門自慰を楽しむ顔の濃いおじさんこと後崎歩里雄、
そして後崎さんの肛門から抜けなくなった異物を摘出する羽目になる肛門科医・JB先生(本名:弁通寺浄太郎)が織りなすギャグ漫画シリーズが始まりました。
この作品は一八先生とはまた違った意味で凄まじく、絵柄を模倣するのではなく他作品の設定を巧妙にアナルに繋げてしまう異様な発想力。
一八先生の単行本化がダメでこれはOKという基準は甚だ謎ですがとにかく面白いのでヨシ。
あ、皆は肛門自慰はほどほどにしてね!!!
後崎さんの真似をするとマジで命の危険だからね!!!!!
第55位『進撃の巨人』諫山創…全34巻
社会現象を巻き起こした、2010年代を代表する作品のひとつですね。
人間を捕食する巨人と、巨人に対抗する人間との戦いを描いた作品です。
「謎が謎を呼ぶ展開」という表現はよく使われますが、この漫画ほどそれを体現した作品はそう多くないでしょう。
「進撃の巨人」というタイトルの本当の意味が明かされるのに7年、1話のサブタイトルの意味が分かるのに10年かかるという遠大さはこの漫画をおいて他にありません。
次第に判明していく主人公・エレンの過去や巨人の正体が、彼の立ち位置を二転三転させていきます。
ちょくちょく挟まれるシリアスな笑いの質の高さも見逃せないポイントですね。
第54位『あおざくら 防衛大学校物語』二階堂ヒカル…既刊28巻
少し珍しい、防衛大学校を舞台とした作品。
主人公の近藤勇美は成績優秀な高校生でしたが、実家の定食屋が廃業するため進学先の選択に迫られました。
そんな中、入学金・学費免除の上、毎月手当ても出る「防衛大学校」への進学を決意します。
防衛大学校は幹部自衛官を養成するための学校であるため、厳格な規律と過酷な訓練がつきものです。
近藤は防衛大学校での生活に戸惑いますが、同期と支え合い、厳しくも優しい先輩達からの指導もあり徐々に未来の幹部自衛官として成長していきます。
彼らが奮闘してくれているおかげで我々国民が安心して過ごせているのだということを実感できますね。
遠泳、棒倒し、校友会活動(いわゆる部活)、カッター競技会など、
様々な訓練やイベントの内情を見ることができるのも興味深いポイントです。
第53位『玄人のひとりごと』中島徹…全11巻
玄人のギャグ漫画。
経歴不明のプロギャンブラー・南倍南は、「玄人」であることに人一倍のこだわりを持ち、ことあるごとに周囲を「素人」と見下す癖を持ちます。
ただし変なところで玄人ぶって見栄を張り、痛い目を見ることもしばしば。というかほとんど。
元々、主人公の南倍南は麻雀漫画『少年雀鬼-東-』に出てくる敵キャラの一人であったため、初期こそ麻雀を題材とした話が多かったものの、
その後は食事や旅行、キャンプに温泉、果てはATMから素早くお金をおろすテクニックなど、多岐にわたるネタが展開されます。
物語はあってないようなもので、4ページ1話完結で非常に読みやすくまとまったギャグ漫画です。
作者の中島徹先生が2011年に逝去されたため連載は中断のまま未完となってしまいましたが、中島先生の素晴らしい作品の数々は永久に不滅です。
(個人的には『きちんと軍配!』『五月原課長のつぶやき』も大好きです)
第52位『決してマネしないでください。』蛇蔵…全3巻
異色の理系偉人伝ラブコメ。
工科医大で理論物理学を専攻する大学生・掛田理は、食堂の調理師である飯島さんに恋をします。
しかし掛田氏は女性と話をしたこと自体が殆どなく、数学や物理のことばかりを考えて生きてきました。
そこで飯島さんに科学への興味を持ってもらうべく、様々な実験や偉人伝を届ける…というラブコメです。
この漫画のキモとなるのはラブコメ…
ではなく徹底的にラフに描かれた偉人伝や科学実験の内容です。
「酸素という名前が命名された経緯」「地球の大きさを調べるためにかつて行われた測定法」「手を洗うことが感染症の予防になることを発見した経緯」などが猛烈に分かりやすく解説されており、
全3巻では全く足りない、もっと読みたいと思わせられるクオリティです。
第51位『しあわせももりんご』うさくん…全2巻
エロス賛歌。
私はこれが好きすぎて、かつて紹介記事を書きました。(現在は非公開です)
男子たるもの、一度は「エロ」というものに真剣に向き合った日が存在するはずです。
『しあわせももりんご』は、そんな「エロ」に対して誰よりも真剣に向き合い、女性の素晴らしさを賞賛する、それでいて決して女性に危害を加えることはありません。
そんなおバカな男子中学生たちによる青春ギャグ漫画と言えるかもしれません。
主人公は途方もないエロスを内包する男子中学生・桜咲桃彦。
そんな彼の周りでは各々の「エロス」を探求するアホな男子ばかりが存在し、様々な事件が巻き起こります。
この漫画の魅力は、その作風の唯一無二性です。
『変女』や『惰性67パーセント』といったギリギリのお色気を攻めたギャグ漫画とも異なりますし、
『稲中卓球部』や『生徒会役員共』などといった下ネタギャグ漫画ともまた異なります。
言うなれば男子中学生同士が休み時間に友達とキャッキャ言いながら話す「エロ」といったところでしょうか。
ちなみにこの作品は2004年~2007年にかけてコミホリというWEBコミックサイトで連載され、全2巻で単行本化されていたものの、
うさくん先生の普段の作風のせいか、出版社が強くなかったせいかは不明ですが早々に絶版となってしまいました。
そんな中、2022年にまさかまさかの電子書籍版での再販が開始されました。
令和に『しあわせももりんご』が読めるとか夢かな?と思ったものです。
ただ一つだけ、この『しあわせももりんご』電子書籍版の残念なところとして、
連載版・単行本では殆どのセリフが書き文字だったのですが、電子書籍版では大部分が写植に置き換わっています。
うさくん先生ご本人の希望による変更のようですが、個人的には『しあわせももりんご』の独特かつゆるい書き文字が大好きだったので、この一点だけが残念なところですね。
そんなわけで悩んだ時は両方買いましょう。
まとめ
というわけで、今回の記事は100位から51位までとなります!
本当は100位から1位までぶっ通しでご紹介したかったのですが、
文字数が50000字を超えてしまい、自分で読んでて「これ書いた奴はどれだけ暇人なんだ」と思ってしまうほどの出来栄えでしたので、前後編に分けてのお届けとしました。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました!
後編はこちらからお楽しみ下さい!